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[ 自動車・輸送機 ]
(2017/8/20 10:30)
配車サービス大手、米ウーバー・テクノロジーズ(サンフランシスコ)のCEO探しが大詰めを迎える中、ゼネラル・エレクトリック(GE)前CEOのジェフ・イメルト氏がその最有力候補になっていると19日、米メディアが相次いで伝えた。最初に報道したrecodeは複数の関係者の話として、ウーバーの取締役会メンバーの過半数が経験豊かなイメルト氏を推す方向で一致しており、2週間以内に取締役会でCEOの選任投票が行われる可能性があるとしている。
報道によれば、当初からイメルト氏を強力に推薦している取締役の一人が、オンラインメディア、ハフィントンポスト創業者のアリアナ・ハフィントン氏。他に2人の男性候補が残っていて、ひっくり返る可能性もないわけではないが、混乱したウーバーの経営を正常化させるのに、イメルト氏の手腕や人脈に期待する取締役が多数を占める状況だという。ウーバーの主要株主ながら共同創業者を提訴したベンチャーキャピタル(VC)のベンチマーク・キャピタルなど残りの取締役は、態度を決めかねているとされる。
ただ、recodeの記事を執筆したカーラ・スウィッシャー氏によれば、「インダストリアル・インターネット」にGEの未来を託したイメルト氏は、他の大企業経営者に比べて最先端のIT事情に通じ、その重要性を理解しているものの、シリコンバレーの起業家タイプではない上、そもそも現在住んでいる東海岸から西海岸に移ってくるだろうかとの懸念も示している。
ウーバーは、株式時価総額でゼネラル・モーターズ(GM)を上回り、米国最大の株式未公開企業にまで急成長したとはいえ、現場でのレイプを含めたセクハラや差別的な人事の横行、規制当局の担当者にサービスを利用させないようにするソフトウエア利用の疑い、さらにグーグル系のウェイモによる特許侵害訴訟などの不祥事が相次ぎ明るみになり、批判が集中。ベンチマークをはじめ投資家からの圧力が高まり、6月20日には共同創業者のトラビス・カラニックCEOが辞任に追い込まれた。
取締役会は後任CEO探しに着手したものの、人選が難航。その荒々しい企業文化を変え、ダイバーシティー(多様化)を進めようと女性CEOの起用も浮上したが、ベンチマークがお気に入りとされる米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のメグ・ホイットマンCEOには断られている。フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOも後継CEOリストに入っていたが、関係者の話を元にしたブルームバーグの報道によれば、サンドバーグ氏はフェイスブックのナンバー2の座を退く気はないとされる。
一方、ベンチマークはカラニック氏の完全な追い出しにかかる。8月10日には、取締役にとどまっていたカラニック氏に対し、投資家を欺いたなどとして同氏の取締役解任を求めて提訴。創業当初から関係の深いVCがベンチャー創業者を訴えるという異常な事態で、どちらも取締役であることから取締役会も緊張感に満ち、後任CEO探しに暗い影を落としていた。
(2017/8/20 10:30)