[ ICT ]
(2017/8/21 13:30)
(ブルームバーグ)米アップルの次期「iPhone(アイフォーン)」は、激しい価格競争を繰り広げている米携帯電話事業者にとって新たなチャンスを意味する。仮にまだ争い続ける気があればの話だが。
アップルは来月にも新型アイフォーンを発表する見通しだ。昨年の「アイフォーン7」投入では、 TモバイルUSが新規・既存顧客に「6」の下取りで「7」を提供し、同業のスプリントと ベライゾン・コミュニケーションズ、AT&Tが即座に追随した。
ジェフリーズ・グループによると、こうしたプロモーションは代償を伴った。負担額は2016年の最後の2四半期で1契約者当たり約200ドル(約2万1800円)に上ったという。次期アイフォーンでも似たような販促が行われれば、さらに費用は膨らむことになる。今回はより保守的な戦略を採用する可能性はあるが、4大事業者のうち1社でも積極的な販促を仕掛ければ、他社も同業の措置を講じる可能性が高い。
ジェフリーズのアナリスト、マイケル・マコーマック氏は「健全な状況でないのは明らかだ」と話す。
Tモバイルとスプリントが昨年、アイフォーンの下取りと無制限のデータプランを打ち出したことで、ベライゾンとAT&Tは同年7-9月(第3四半期)に大きな影響を受けた。ベライゾンの電話加入者数は3万6000人減少、AT&Tは26万8000人減となった。同四半期で85万1000件の純増を記録し、首位だったTモバイルでさえ、今年はこうした戦略から距離を置く可能性を示唆している。
グローバルデータの無線通信担当アナリスト、アビ・グリーンガート氏は、携帯電話サービス各社が競争を繰り広げる中で唯一の勝者はアップルだと語る。「プロモーションが熱を帯びれば、消費者はアップル製品をその分買いやすくなる。アップルは購入者がどの事業者を使っているかは気にしない」と述べた。
スプリントとAT&T、ベライゾン、Tモバイルは新型アイフォーンに関する具体的な販促についてコメントを控えた。
原題: New IPhone Tests a Wireless Industry Scarred by Price Wars(抜粋)
(2017/8/21 13:30)