[ 科学技術・大学 ]

【電子版】NASAの探査機カッシーニ、土星突入へ 20年の旅終え最後の任務

(2017/9/9 06:00)

  • カッシーニが撮影した土星。向こう側に太陽があるため土星が影になっている(NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

米航空宇宙局(NASA)の土星探査機「カッシーニ」が日本時間15日夜、土星の大気に突入し、20年間に及んだ任務を終える。2004年の土星周回軌道投入以来、土星や特徴的なリング(輪)の成り立ち、生命の存在可能性を秘めた衛星の探査など、さまざまな成果を挙げてきた。最終任務でカッシーニは土星に突入して燃え尽きるが、直前まで大気の組成データなどを取得し、地球に向けて送信する。

1997年に打ち上げられたカッシーニは、7年後の2004年7月に土星周回軌道に到着。未知の衛星の発見や輪の詳細な構造の撮影、土星の巨大嵐の観測など、これまでにない詳細な土星の画像を送り続けてきた。

同12月には、搭載していた小型探査機「ホイヘンス」を最大の衛星タイタンに向けて分離。探査機は軟着陸に成功し、メタンが形づくる河川のような地形の撮影や大気のデータ取得などを行った。

また、衛星エンケラドスの接近観測では、衛星内部から液体の水が宇宙空間に噴出する「プルーム」を採取。生命誕生の条件に欠かせない水と有機物、水素などが存在することを確認した。取得したデータから、東京大と海洋研究開発機構などの国際チームは、エンケラドスの内部で熱せられた海水が岩石と反応する熱水活動の証拠を発見。地球の熱水活動は「生命誕生の場」とされており、地球外生命の存在確認への期待が高まった。

NASAは昨年9月、燃料が尽きつつあるカッシーニが土星の衛星に衝突して環境を汚染しないよう、任務終了後に土星に突入させることを決断した。今年4月に始まった最終任務でカッシーニは、土星と輪の間を通り抜ける「輪くぐり」を実施。これまでにない近距離から、土星の大気や輪の構造を観測することに成功した。

 ◇土星探査機カッシーニの歩み

1997年10月 米フロリダ州から打ち上げ

2004年 7月 土星周回軌道投入に成功

     12月 小型探査機ホイヘンスを分離

  05年 1月 ホイヘンス、最大の衛星タイタンに軟着陸成功

      2月 衛星エンケラドスから水蒸気の噴出を発見

  06年 7月 タイタンにメタンの「湖」を確認

  13年 7月 土星から地球を撮影

  15年 3月 東大など、エンケラドスに熱水活動の証拠発見と発表

  17年 4月 土星と輪の間を通過する「輪くぐり」に成功

      9月 土星に突入、任務終了。

(時事)

■NASA at Saturn: Cassini's Grand Finale(NASA Jet Propulsion Laboratory)

(2017/9/9 06:00)

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