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[ エレクトロニクス ]
(2017/9/23 11:30)
売却先は米ラティス買収を狙うも、トランプ氏が阻止
半導体メーカーの英イマジネーション・テクノロジーズが22日、投資ファンドに会社を身売りすることで合意したと発表した。イマジネーションはこれまでアップルのiPhoneなどに画像処理半導体(GPU)技術を提供してきたが、GPUの内製化を図るアップルが同社との契約を2年以内に停止すると今年4月に通告。イマジネーションでは売上高の約半分を占めるアップル向けビジネスを失うことになることから、会社の存続が難しいとみて6月以降、身売りを模索してきた。
身売り先は米シリコンバレーを本拠地とする未公開株投資ファンド、キャニオン・ブリッジ子会社のCBFIインベストメント。売却額は約5億5000万ポンド(約825億円)。
アップルはiPhoneやiPadに搭載するARMアーキテクチャーのマイクロプロセッサー「Aシリーズ」について、自社で設計を行なっている。12日にアップルが発表したiPhone 8/8 Plus/X向けのマイクロプロセッサー「A11バイオニック」でも、6コアあるうち3コアにアップル自社開発のGPUを搭載。顔認証機能をはじめ、人工知能(AI)による画像処理や拡張現実(AR)に活用している。外部調達ではなく、自社開発のハードウエアとソフトウエアを高いレベルで密に融合させることで、他社製スマートフォンとの差別化を狙う方針のようだ。
傘下の米MIPS、別ファンドに売却で合意
一方で、キャニオンには中国の政府系投資ファンドが資金を出しており、同社による米半導体大手ラティスセミコンダクターの13億ドル(約1400億円)での買収計画については、9月13日に米国のトランプ大統領が安全保障上のリスクを理由に、大統領権限で買収を阻止したという経緯がある。
そうした事情が絡むためか、イマジネーションが13年に買収した組み込み半導体の米MIPSテクノロジーズは、シリコンバレーにあるトールウッド・ベンチャーキャピタル系のトールウッド・ミップスに分離して譲渡される。MIPSはCPUのRISCアーキテクチャーを開発したことで知られる。
(2017/9/23 11:30)