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[ 建設・住宅・生活 ]
(2017/10/12 05:00)
地面に埋設されている下水道管などの老朽化が進み、道路陥没の危険性が高まっている。地質調査事業を展開する川崎地質は、富士通の人工知能(AI)を活用し、路面下の空洞解析受託サービスを始めた。地中レーダー探査装置で収集する膨大な画像データから、AIが空洞の可能性のある箇所を判定する。これまで技術者が行っていたのと比べ、判定時間を約10分の1に短縮できる。自治体などの道路管理者にサービスを提供していく。(編集委員・村山茂樹)
【見落とし課題】
高度経済成長期に整備された社会インフラで、老朽化の目安となる50年を経過したものが増えている。下水道管も例に漏れず老朽化が進んでいる。
国土交通省によると、敷設後50年以上経過した下水道管は、2015年度で約1万3000キロメートル。3年前と比べて約3割増加した。20年後には約10倍に増えると予測する。経年劣化により、下水道管に亀裂が入ると「土が吸い込まれて空洞ができる」(沼宮内信川崎地質戦略企画本部営業企画部長)ため、道路陥没の原因になる。
川崎地質は地中レーダー探査装置を用いて、路面下の空洞や埋設物を調査するサービスを展開している。一般的には深さ1・5メートルを探査するが、同社は同3メートルと、より深い部分の状況を把握できるのが強みだ。
電磁波による反射波形を取得し、画像化する。道路100メートルあたり1枚の画像データから、地面下の空洞や埋設管の有無などを、技術者の経験を頼りに目視で判定する。
ただ、「技術者によりデータの見方や解釈に個人差が出る」(同)ほか、長時間がかかり、ヒューマンエラーによる見落としなどが課題になっていた。
【自治体に提供】
このため、画像データの解析作業にAIを活用することにした。AIが地面下の異常を察知できるようにするため「万単位の画像データを使い、機械学習した」(山田茂治川崎地質首都圏事業本部保全部長兼探査グループ探査開発室長)。機械学習を踏まえて推論システムを構築し、空洞の可能性を自動判定できるようにした。
この結果、100キロメートルの道路の解析作業は従来、5―10人で2―3週間かかったが、AIにより2―3日で行える。見落としなどのヒューマンエラーがなくなり、解析精度が高まる。今後データ解析の事例が増えていけば、「さらに精度が上がる」(山田氏)見込みだ。
自治体の財政状況が厳しい中、空洞解析の受託サービスは割安に料金を設定。下水道管の老朽化対策に活用されることを期待する。
(2017/10/12 05:00)
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