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[ 自動車・輸送機 ]
(2017/10/27 05:00)
電動化一色となった東京モーターショーの会場で、マツダの展示が異彩を放っている。次世代ガソリンエンジン「スカイアクティブ―X=写真」の前には人だかりができ、初お目見えとなった“夢のエンジン”の実像を見極めたいという人たちの熱気であふれている。
「ガソリンの希薄混合気を圧縮着火させる技術の実用化に、世界で初めてめどを付けた」。小飼雅道社長はモーターショーのプレゼンで胸を張った。
スカイアクティブ―Xが注目を集めるのはその燃焼方式にある。ガソリンを、通常の火花点火ではなく、ディーゼルエンジンのように圧縮着火させるHCCI(予混合圧縮自動着火)と呼ばれる燃焼を実現したからだ。HCCIは燃料の割合をきわめて薄くした混合気を自己着火させて、燃費と環境性能を両立させることができる。理想の燃焼方式といわれたが、温度など一定の条件でしか実現できず、通常の火花点火との切り替えが難しいことなどから、これまで実用化できなかった。
マツダが実現した「SPCCI(スパークプラグ制御圧縮着火)」という方式では、スパークプラグによる火花点火で生じる火の玉が膨張する力で圧縮着火を起こす。いわば逆転の発想だ。従来のスカイアクティブガソリンエンジンに比べ20―30%低燃費化でき、ディーゼルエンジン並みの出足の良さを実現したという。
気になるのは価格だが、マツダの幹部は「通常のガソリンエンジンに三つの補機を付け加えただけの構成。それほどコストアップにはならない」と言う。
今回のモーターショーで単体のエンジンを出品した国内の乗用車ブランドは、マツダ以外ではレクサスとスズキのみ。電動車シフトの中で、エンジンの新技術という点では寂しい展示会だった。そうした中でマツダの展示は異例で、注目を集めるのも当然といえる。今後、量産化に向けてどう品質や性能をチューンアップしていくかという局面に入る。
(2017/10/27 05:00)