(2024/11/6 05:00)
米大統領選の開票が日本時間の6日午前から始まる。女性初の米大統領誕生か、トランプ氏再選か、両候補者への支持はかつてないほど拮抗し、米国の分断はさらに深化した。いずれが選出されても米国内の政治・社会の混乱は容易に収束せず、米国の国際社会への影響力も低下しかねない。前回の大統領選のように、選挙結果に納得しない支持者が暴徒化すれば、米国の民主主義さえ脅かされる。米大統領選の行方を強く憂慮する。
バイデン大統領が選挙戦から撤退し、民主党の大統領候補となったハリス副大統領。女性で初、アジア系初の米大統領となり“ガラスの天井”が破られるのか、歴史的な選挙になる。同盟や多国間の関係を重視するハリス氏に対し、国際秩序より自国第一を優先し、民主主義の根幹である選挙にも疑義を呈するトランプ氏。いずれの候補者が地政学リスクを軽減させるリーダーにふさわしいかは自明だ。
ただハリス氏が注目を集め、トランプ氏を支持率でリードした“ハネムーン期間”を過ぎ、現政権の弱点が支持率拮抗を招いている。物価高と移民の急増である。“選挙イヤー”の2024年は世界で与党が苦戦し、有権者の現状への不満が噴出していた。米国でも同様の事態が再燃されないか懸念される。
支持率拮抗ゆえに、政策論争よりも個人攻撃が目立ったのは残念だった。両候補による討論会も1回しか行われなかった。この間、中東情勢は悪化し、北朝鮮はロシアに派兵、中国は44年ぶりに太平洋上に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。「内向き」な米有権者は、国際秩序が脅かされている現状にも目を配る必要がある。
前回の米大統領選のように、敗北を認めない支持者による暴徒化が繰り返されれば、国際秩序はおろか米国の民主主義が弱体化する。トランプ氏は、すでにペンシルベニア州の有権者登録で不正が行われたと根拠なく主張する。選挙の結果や法の支配を尊重しない社会が継続する限り、米国の分断は解消されない。国際社会での影響力も低下すると覚悟する必要がある。
(2024/11/6 05:00)
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