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[ エレクトロニクス ]
(2017/11/4 09:30)
半導体大手ブロードコム(旧アバゴ・テクノロジー)が同業の米クアルコムの買収を計画しているとブルームバーグなど米メディアが一斉に報じた。事情に詳しい関係者の話として伝えた。実現すれば半導体メーカーとしては10兆円を超える史上最大規模の買収劇となる可能性がある。ただ、独占禁止関連の規制も含め、買収計画が進展する保証はないという。
ブルームバーグは、ブロードコムがクアルコム買収の可能性についてアドバイザーらと話し合っていると報道。WSJは、ブロードコムが早ければ今週末にもクアルコムに買収を持ちかけるかもしれないとした。一方で、クアルコムは2016年10月にオランダのNXPセミコンダクターズの買収を表明し、NXP買収に向けて手続きを進めている。今回の巨額買収劇がクアルコムのNXP買収にどう影響するかは不明だ。
アップルとの訴訟合戦などを受けてクアルコムの株価は年初から15%下落しており、ブルームバーグによると現在の時価総額は820億ドル(約9兆3700億円)。また、ブロードコムは約51%上昇し、時価総額は1090億ドル(約12兆4000億円)にも上る。
通信用半導体を主力とするブロードコムは、もともと米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者らによって1991年創業。2016年に半導体業界としては当時過去最大の370億ドルでアバゴ・テクノロジーに買収され、買収後にアバゴがブロードコムに社名を変更している。
一方のアバゴは米ヒューレット・パッカード(HP)の半導体部門に起源を持つ。1961年に同部門が創設され、99年に計測・分析装置のアジレント・テクノロジーとともにHPから分離。その半導体事業を05年にファンドが買収した後、シンガポールを本拠地とするアバゴ(現ブロードコム)が設立された。
つい先日の11月2日には、トランプ米大統領とブロードコムのホック・タンCEOがホワイトハウスで記者発表を行い、ブロードコム本社をシンガポールから米国に戻すことを明らかにしたばかり。ブロードコムの米国本部はカリフォルニア州サンノゼにあるが、登記上の本社移転により米国に200億ドル(約2兆2800億円)の収入が入ると会見で強調してみせた。
本社を移すことで、文字通り米国企業同士の買収劇となる。本社移転の裏にはもしかすると、トランプ政権の反発を和らげるブロードコム側のしたたかな戦略があるのかもしれない。
(2017/11/4 09:30)