[ 機械 ]
(2017/11/20 05:00)
≪超偏平アクチュエータ/技術融合で薄型化を実現≫
【ロボットに照準】
少子高齢化が加速する中、福祉介護向けにもロボット活用が進む。そうしたロボットでは、減速機とモーターを一体化した機構の重要性が高まっているが、人間に身近な機器向けへ展開するには「薄型化」が一つの壁となっていた。日本電産グループの日本電産シンポは、「超偏平アクチュエータ」で業界最薄の幅を実現。パワーアシストスーツの関節や電動車いすの車輪などへ導入を見込む。
【衝撃も抑制】
モーター部分が従来品のように外へ出っ張らないのが特徴。日本電産シンポが展開してきた波動歯車減速機「FLEXWAVE(フレックスウェーブ)」に、日本電産本体が強みとするブラシレスDC(直流)モーターを組み合わせ実現した。
ラインアップは厚さ40ミリメートル・定格容量90ワットの小型品と、同45ミリメートル・同200ワットの大型品の2種類。どちらも同容量の従来品と比べ、厚さは4分の1以下、重さは2分の1以下となった。減速機のバックラッシュ(歯車のがた)が低いため、起動時の衝撃も抑制できる。
小型品の試作完成は2015年。内部が空洞となるフレックスウェーブの構造に着目し、外側が回転子となるアウターローター型モーターを中に埋め込んだ。空洞部をうまく利用した上で、モーターをできる限り薄くしたことがカギだ。日本電産の研究開発拠点の一つ、滋賀技術開発センター(滋賀県愛荘町)と連携し、急ピッチで開発。16年初頭の米国の見本市「CES」への出展にこぎ着けた。
大きな反響を受けて間もなく、大型品開発にも着手した。だが大容量対応には、アウターローター型モーターでは薄型化できないことが判明する。そこで目をつけたのが、軸方向に固定子(コイル側)と回転子(磁石側)を配置する構造の「アキシャルフラックスモーター」だった。
【グループ連携】
今度は日本電産台湾モーター基礎技術研究所(台南市)と連携して開発。グループのグローバルな強みを存分に生かした。日本電産シンポ技術開発本部副本部長の前口裕二執行役員は「磁石とコイルとの隙間を一定に保つため、十分な剛性確保や寸法公差の設定で苦労した」と振り返る。
ロボット向け減速機市場では薄型製品はまだ少ない。今後もグループのモーター技術と融合することで、新市場をリードする考え。
(京都・園尾雅之)
(2017/11/20 05:00)
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