[ トピックス ]
(2017/11/27 05:00)
栃木県で開かれている「第55回技能五輪全国大会」は26日、競技の2日目、最終競技日を迎えた。原則23歳以下の若手技能者等が、栃木県内の各会場で悔いのない戦いを全うできるよう、最後の力を振り絞った。闘う姿を紹介する。
【メカトロニクス】
工場の自動生産設備を想定した競技。産業用ロボットなどを組み合わせ、ステーションという設備を求められる仕様通りに二人一組で製造・保守する。課題は3段階に分かれ、25日は5時間でステーションを製作。26日は、製作した設備にあらかじめ設定された不具合に対応するトラブルシューティング、設備に改良を施すメンテナンスで競う。無駄のない作業が求められるだけでなく、チームワークが勝敗を決する重要な要因になる。
【木型】
競技は2日間に渡って行われ、計10時間半の競技時間内に鋳造部品の「木型」を製作する。成形技能だけでなく、図面の解読や木材の性質など幅広い知識も求められる。現在は厳しい寸法精度や数値制御(NC)加工などに対応するために、合成樹脂や金属などとの併用も盛んなため、今後の発展が強く期待されている。
【曲げ板金】
平らな鋼板を加工し、平面や曲面、フランジなどさまざまな形状を時には手で、時にはハンマーを使って加工し、立体的な製品を作る。寸法を正確に出すことや空間図形を理解する能力などが求められる。少量生産などでは機械加工だけでは製作できないものもあり、手作業による高い板金加工技術を持つ技能者に期待が高まっている。
【情報ネットワーク施工】
情報ネットワーク施工は11月25日(土)8時から18時20分まで、11月26日(日)8時半から12時35分まで行われる。光ファイバーやLANケーブルなど情報配線システムを構築する。宅内配線施工、光ファイバ接続、構内配線施工、トラブルシューティング、メタル接続、構内配線施工課題にプラスαを申請する選択課題の6課題で構成される。配線、設計、測定、施工方法、安全、機能の観点から採点を行う。「より正確に、より早く、より美しく」施工することがポイント。
【ITネットワークシステム管理】
ITネットワークシステム管理は11月25日(土)9時から16時まで、11月26日(日)9時から12時まで行われる。高い信頼性が求められるネットワークシステムを設計・構築・運用管理する。Webなどのサービスを行うサーバシステムを構築し、そのサーバで使われるオペレーティングシステムをインストール・チューニング、ルータなどを使ってネットワークを構築することの2課題で構成される。これまでの経験と知識だけではなく、判断力と想像力が必要だ。
【構造物鉄工】
構造物鉄工は、図面や仕様書を元に鋼板、平鋼、鋼管などの素材を切ったり、穴を開けたりして作品を作る。0.1ミリメートルレベルの寸法精度の高さや切断面、溶接部のきれいさ、機能性などが求められ、熱による金属の膨張収縮、加工変形などの知識と経験が必要。鋼構造物の製作は、モノづくりの基礎となる技能であり、日本のモノづくり力の成長には欠かせない技能と言えよう。今回の課題は、パワーショベルをイメージした作品を製作するものだった。
【移動式ロボット】
「移動式ロボット」は、自走式ロボットを設計・製作し、制御プログラムを組んで、課題で定められた荷物配達などの動作が速くかつ正確に出来るかを競う。2人1組のチーム競技で、25~26日の2日間の日程で課題が三つ用意されている。選手には設計やプログラミングの技能、システム全体を把握できる論理的思考力が求められる。また、効率的な作業の計画策定が必要で、選手同士の意思疎通も欠かせない。
この競技は、今回から全国大会の正式種目に採用。国際大会メダル常連の強豪、デンソーに加え、地元栃木の帝京大学や、愛知と山口の高校生も参加。6チームによる熱戦が繰り広げられる。
(2017/11/27 05:00)