[ 政治・経済 ]
(2017/12/6 12:30)
大使館移転を宣言、時期は未定
【ワシントン、エルサレム時事】トランプ米大統領は6日午後(日本時間7日未明)、エルサレムをイスラエルの首都と認め、現在は商都テルアビブにある米大使館を移転する考えを宣言する。米政府当局者が5日、明らかにした。「治安上の懸念」などを考慮し、実際の移転は当面行わない。ただ、首都承認は「エルサレムの帰属はイスラエルとパレスチナの和平交渉で決める」という歴代米政権の方針転換を意味し、アラブ側は猛反発している。
トランプ氏は5日、イスラエルやパレスチナ、アラブ諸国の首脳と電話会談を行った。パレスチナ側によると、正式発表を前にトランプ氏は大使館移転の意向を伝えた。
「エルサレムの帰属」はトランプ氏が「究極のディール(取引)」と見なす中東和平交渉の最重要問題の一つ。イスラエルが首都と主張する一方、パレスチナは東エルサレムを首都とする国家樹立を目指している。米国が一方的な判断を下したことで「中立的な仲介者としての役割を損なう」(ニューヨーク・タイムズ紙)のは避けられない。
トランプ氏は大使館移転を選挙公約に掲げてきた。ただ、米当局者は「移転は数年かかる問題だ」と指摘。トランプ氏は具体的な移転計画を示さず、パレスチナ側に一定の配慮をしたとみられる。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争でヨルダン領だった東エルサレムを占領・併合し、エルサレム全域を「不可分の永遠の首都」と位置付ける。しかし、国際社会はイスラエルの主張を認めず、日本を含む各国大使館はテルアビブに置かれている。
5日の電話会談で、パレスチナ自治政府のアッバス議長はトランプ氏に「(イスラエルとの)和平プロセスや、地域や世界の治安と安定に重大な結果を招く」と警告した。
パレスチナ各派は6日から3日間、パレスチナ全域で「怒りの日」としてデモを呼び掛けており、治安の悪化も懸念される。エルサレムの米総領事館は、政府職員と家族にエルサレム旧市街やヨルダン川西岸を業務外で訪問しないよう求めた。(時事)
(2017/12/6 12:30)