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【電子版】NHK受信料「合憲」 国民の知る権利を充足-最高裁(更新)

(2017/12/6 20:30)

  • 最高裁大法廷は「憲法の保障する国民の知る権利を充足する」としてNHKの放送法の規定を合憲とする初判断を示した(時事)

テレビ設置時から義務

 NHKの受信料制度をめぐり、テレビを持つ人に契約締結を義務付ける放送法の規定が憲法に反するかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、「国民の知る権利を充足する」として、規定を合憲とする初判断を示した。

  • NHK受信料訴訟で判決を言い渡した最高裁大法廷。中央は寺田逸郎裁判長(6日午後、時事)

 大法廷は「テレビ設置時にさかのぼって受信料の支払い義務が生じる」とも判断した。判決は全国で900万世帯を超える未払いへの徴収を後押しする可能性があり、大きな影響を与えそうだ。

 放送法は、テレビなどの受信設備を置いた人は「NHKと受信契約をしなければならない」と規定している。この規定が憲法に違反しないかが最大の争点で、裁判で正面から合憲性が問われたのは、1950年のNHK設立以来初めてだった。

 大法廷は受信料制度について、「憲法の保障する国民の知る権利を実質的に充足する合理的な仕組み」と指摘。契約を強制する放送法の規定は「適正、公平な受信料徴収のために必要で憲法に違反しない」と判断した。裁判官15人中14人の多数意見。

 その上で、契約を拒んだ人に対し、NHKが承諾を求める裁判を起こし、勝訴が確定した時点で契約が成立すると判示。テレビの設置時にさかのぼって受信料の支払い義務が生じるとの初判断も示した。木内道祥裁判官は「設置時からの支払い義務はあり得ない」とする反対意見を述べた。

 裁判になったのは、2006年に自宅にテレビを設置した東京都内の男性。契約申込書を送っても応じないとしてNHKが11年に提訴した。

 男性側は、契約は視聴者の意思で結ぶべきで、規定は憲法が保障する「契約の自由」に反すると主張した。NHK側は受信料制度には十分な必要性と合理性があるとして合憲だと反論していた。

 大法廷は男性の上告を棄却。未払い分約20万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。

 ≪NHKの話≫ 主張が認められた。引き続き受信料制度の意義を丁寧に説明し、公平負担の徹底に努める。(時事)

「理不尽な判決」 受信料徴収強化を懸念-男性側弁護団

  • NHKが契約締結と受信料の支払いを求めた訴訟の最高裁判決を受け、記者会見する男性側代理人の高池勝彦弁護士(左)ら(6日午後、時事)

 受信料制度を合憲とした最高裁判決を受け、NHKに訴えられた男性の弁護団が6日、東京都内で記者会見し、「理不尽な判決だ」と受信料徴収が強化する事態への懸念を示した。

 弁護団代表の高池勝彦弁護士は「われわれの全面敗訴だ。受信料制度の改革には寄与しない」と悔しさをにじませた。

 最高裁は、受信契約の承諾を命じる判決が確定するまで、未払い分の「時効」はスタートしないと判断した。尾崎幸広弁護士は「テレビを設置した50年前までさかのぼって受信料の支払い義務があることを是認する内容だ」と批判した。

 テレビを多数設置するホテルなどは負担が大きくなる可能性があると指摘し、「つぶれる所も出てくるかもしれない。非常に理不尽だ」と憤った。

 弁護団によると、NHK内の審議会では、インターネットによる番組放送についても、スマートフォンなどを所有した時点からの支払いを求めることが議論されているという。弁護団は「看過できない。旧態依然とした制度でいいのか。ネット時代にふさわしい立法を国民が求めていくべきだ」と訴えた。(時事)

(2017/12/6 20:30)

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