[ ICT ]
(2018/1/19 18:00)
フリックフィット(FlicFit、東京都目黒区、廣橋博仁社長、03・5734・1244)は、3次元データ解析技術などを使って足のサイズにぴったり合う靴探しを支援する独自のIoT(モノのインターネット)システムを開発した。足のサイズの計測開始から10秒程度で両足の3Dデータを取り出し、インターネットを通じて同社のデータベースにある靴の3D内寸データと照合、足に最も適したサイズの靴を提案できる。百貨店や専門店、シューズメーカーに訴求し、靴売り場の人手不足対策や人件費削減の一手としての活用を見込む。2020年をめどに導入1000件を目指す。
計測時間わずか10秒
一般顧客向けにもアピールし、今夏にも、同社のショールームを訪れた顧客がこのシステムを使って実際に靴を購入できるようにする。靴を売る側だけなでなく、買う側にもこのシステムを知ってもらい、小売り・百貨店業界などに導入を促す力にする。
廣橋社長は「シューズ売り場に革命をもたらしたい」とし、このシステムが靴選びのスタンダードになるよう取り組みを加速していく構えだ。
フリックフィットの "靴探しシステム"は、独自の3DスキャナとiOS専用のアプリケーションを使う。スキャナ本体に取り付けた4つのセンサーでユーザーの足を撮影。本体下部のPCで画像を解析し、計測開始から10秒程度で両足の3Dデータを取り出す。
その上で、このデータをインターネットを通じてiPadなどiOS端末に自動で送信し、同社のデータベースに保存・蓄積しているメーカーの靴の内寸データと照合。専用アプリを介し、計測した3Dデータに最も近い靴をアプリ上で表示・提案する仕組みだ。データベースに蓄積された靴の内寸データは現時点で約1万足で、今後さらに充実させる。
現時点で、パンプスなど婦人靴がこのシステムの利用対象。普及状況に合わせて子ども靴、紳士靴にも対応できるよう開発を進める計画。ヒールの形や色、価格などを絞り込める機能も付いており、ユーザーの希望に沿った"ピッタリ靴"を探すことが可能だ。1店舗当たりのシステム利用料は初期費用50万円、月額費用(3Dスキャナ1台、iPad1台につき)30万円。
同社関係者によると、同様なシステムが複数あるが、それらはいずれも計測に時間がかなりかかり、さらに「リコメンド(提案)機能がなく、計測された数値を販売スタッフが読み解いた上で、お客さんに提案することになり、そこでも時間と手間が必要になる」という。足、靴の3Dデータを取得する技術についてはそれぞれ昨秋に特許を出願。さらに足と靴の3Dデータをマッチングさせる技術は千葉大学と連携して研究し、共同特許を出願した。
ショールームでの購入体験を可能に
今夏をめどに同社のショールーム「中⽬⿊FitStore」で、このシステムを使った購入体験ができるようにする。ショールームを訪れ、このシステムを通じて気に入った靴を見つけたユーザーがその場で、インターネットで決済し、同社の物流センターから顧客が希望する自宅などの送り先に直接届けられるようにする。
現在、同社のデータベースに保存する靴の内寸の3Dデータが増えるよう複数のシューズメーカーと話し合いを進めている。契約でき次第、物流センターの設置など詳細を固めていく方針。
このシステムについて同社は、シューズショップ向けの接客支援ツールとして17年12月に本格販売をスタート。すでに伊勢丹新宿店、大丸梅田店に採用された。
廣橋社長は「当社のシステムを導入する企業が増えたり、一般のお客さま向けのサービス提供でショールームにお越しになる人たちが増えたりすることで(足の)3Dデータがどんどん蓄えられる。その蓄積がリコメンド機能の精度など、さまざまな機能の向上につながる」としている。同社は06年設立。
(2018/1/19 18:00)