[ オピニオン ]
(2018/1/18 05:00)
中小企業支援を充実・深化させるためには、より幅広く現場の声を聞くことが重要だ。
日本の中小企業支援策は世界で最も進んだ制度だとされる。国や自治体が長年、きめ細かい施策を積み重ねてきた。直近でも、政府は次期国会で成立を目指す2018年度当初予算案と17年度補正予算案の中小企業対策の目玉として、1000億円規模の「ものづくり補助金」を計上。1万社に対して試作品開発や生産設備投資を支援する。
また人手不足対策では、IT化支援に500億円を計上。事業承継問題についても、当初予算で69億円、補正で50億円を支援することを決めた。
こうした施策が、多くの中小企業に利用されることは喜ばしい。しかし一方で、公的支援に慣れた一部企業と、そうではない企業との間で落差が見られることも否定しがたい。
例えば多くの公的支援策は、新規導入の設備しか対象にしていない。「中古機械なら数百万円で買えるのに、新品は1億円もして手が出ない」などと嘆く経営者は少なくない。つまり新規設備を導入する体力がある中小企業しか公的な支援を受けられない。
別の例では、自治体などの中小企業顕彰制度だ。優秀な製品や技術の顕彰は自社の知名度を高め、金融機関や取引先からの信頼を得るなどのメリットがある。しかし同時に、専門講習などの義務がセットになっているケースがある。多忙な中小企業経営者にその義務を求めるのは大きな負担だ。
また、ある伝統工芸士は「国家資格より、木工装飾品の購入に対する優遇措置がほしい」と話す。新築住宅の補助制度の多くは室内装飾品を対象としていない。仕事量の減少と後継者不足に悩む業界にとって切実な悩みだ。
国や自治体に意見をする経営者は限られる。支援策を利用していない企業の声が、本当に施策の立案者に届いているだろうか。限られた予算を有効に使うためにも、現場の声を聞き、既存の施策の有効性を判断する仕組みが求められる。
(2018/1/18 05:00)
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