[ 金融・商況 ]
(2018/1/29 19:00)
金融庁は不正流失した顧客の通貨が多額で、システムの安全対策が不十分だったと判断。再発防止と内部管理の強化などを命じた
原資確認できず、原因特定あいまい「極めて説明が不十分」
金融庁は29日、不正アクセスで580億円相当の仮想通貨を流出させた取引所大手コインチェック(東京)に対し、改正資金決済法に基づき業務改善命令を出したと正式発表した。同庁は「不適切なシステムリスクの管理体制が常態化していた」と指摘。安全対策や内部管理体制の強化、責任の所在の明確化などを求めた。
仮想通貨取引所への業務改善命令は初めて。
金融庁は、流出の原因究明や被害を受けた約26万人への返金を含めた顧客対応策、再発防止策などを2月13日までに書面で提出するよう命じた。立ち入り検査の実施も検討する。
仮想通貨の流出は26日未明に発生。外部からの不正アクセスによって預かっていた仮想通貨「NEM(ネム)」が外部に送金され、ほぼ全額が失われた。通常、インターネットから遮断されたコンピューターなどで管理する顧客資産を、ネットにつながった状態で保管していたなど、不正アクセス対策が不十分だった。
金融庁は28日、コインチェックから流出原因やシステムの管理体制などに関する報告を受けた。同社は、被害を受けた顧客に日本円で460億円余りを返金する方針を示しているが、その原資が確認できず、流出原因の特定にも至っていなかったという。同庁は「極めて説明が不十分」(幹部)として、行政処分に踏み切った。
2017年4月施行の改正資金決済法で、仮想通貨取引所に登録制が導入された。コインチェックは登録審査中だが、法施行前から取引所を運営しているため、「みなし業者」として登録業者と同様の法規制を受ける。(時事)
金融庁、全取引所に報告要請
仮想通貨取引所大手コインチェック(東京)の仮想通貨流出を受け、金融庁が国内の全取引所に対し、顧客資産の管理状況を報告するよう要請したことが29日、明らかになった。管理手法や不正アクセスの検知方法などを確認し、問題があれば改善を促す。
取引所が管理する顧客資産は、インターネットに常時接続した状態でコンピューターで保管する方法と、遮断した状態で保管する方法の二つがある。資産の大部分については遮断して保管するのが一般的とされるが、コインチェックは流出した顧客の仮想通貨「NEM(ネム)」のすべてをネットに接続した状態で保管していた。
金融庁は、各取引所に対し、ネットに接続した状態で保管している仮想通貨の金額や割合、運用方法などを報告するよう要請。サイバー攻撃を受けた際の対処方法についても説明を求めた。
また、コインチェックが流出を確認するまでに約8時間半かかったことを踏まえ、異常な送金依頼があった場合の検知方法の報告も要請した。(時事)
(2018/1/29 19:00)