- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2018/3/6 05:00)
島根大学の笹井亮准教授と藤村卓也助教は、中古車オークションのアビヅ(名古屋市港区、瀬田大社長、052・619・6600)と共同で、熱電変換素子のビスマス・テルル合金などをリサイクルする技術を開発した。それぞれの元素をほぼ100%の収率で回収できるという。熱電変換素子はIoT(モノのインターネット)の分散電源として期待されている。今後、処理量の拡大や不純物への対応を進める。
熱電変換素子は現在捨てられている熱を利用した発電手法として期待されている。プラントの廃熱を利用したセンサー用電源などの用途が見込める。
すでに小型冷蔵庫などに使われているが、テルルが毒性を持つため取り扱いが難しい。リサイクル法が確立すると普及に向けて弾みが付く。
ビスマス・テルル合金からビスマスとテルル、アンチモンの3元素を回収する。まず合金を硝酸中で加熱し、ビスマスとテルルを溶かす。この工程でアンチモン酸化物が沈殿物として回収できる。
次に溶液を中和してアルカリ性にする。するとビスマスが溶液中に溶けていられなくなり、ビスマス酸化物が沈殿する。そして溶液にアスコルビン酸を加えるとテルルが還元されて、金属テルルとして回収される。
アンチモン酸化物の純度は約60%、ビスマス酸化物が85―90%、テルルは金属のため純度がほぼ100%だった。それぞれの元素は沈殿条件では溶液中に残れず、溶液を元素分析すると検出限界以下の濃度だった。15日から東北大学で開かれる日本セラミックス協会年会で発表する。
(2018/3/6 05:00)