(2018/3/29 00:00)
CYDEEN フィールド作業支援サービス
日立システムズが販売する「CYDEEN(サイディーン)フィールド作業支援サービス」が脚光を浴びている。現場作業者が行う準備・実作業・報告など一連の作業にタブレット端末などのスマートデバイスとクラウドを活用し、作業と管理業務の負荷を軽減するサービスだ。中でも注目されているのが工場での活用。「遠隔サポート(テレビ会議)機能により、作業者と管理者の双方向でコミュニケーションが取れ、業務遂行がスムーズになる」と導入企業から高い評価を得ている。
現場外から監視
工場内での活用で目立つのは、作業者がタブレット端末の代わりにスマートグラス(眼鏡型のウエアラブル端末)を装着する方法だ。作業中は両手がふさがってタブレット端末などが使えないため、ハンズフリーにして作業に集中させ、作業と管理の質の向上を狙う。
例えば化学系の製造業では、原料の撹拌、混合、濃縮などに反応釜を使用することが多く、そこでの作業の良し悪しが品質に大きな影響を及ぼす。しかし、熟練作業者が少ない企業では、これらの作業を経験の浅い作業者に頼らざるを得ない場合もある。
これに対し「CYDEENフィールド作業支援サービス」は、遠隔サポート機能を使い、少数の管理者(熟練作業者)が多数の作業者の仕事ぶりを随時、監視できる。スマートグラスを装着すると、作業者目線の映像がクラウドを介して事務所などにいる管理者にリアルタイムに届く。管理者は問題のある作業を見つけたら、作業者と映像を共有しながら修正指示を出せる。つまり、現場に行かなくても作業の監視が行えるわけだ。
人材教育に利用
工場での同サービスの利用形態には、設備点検など現場作業の進捗状況の把握や遠隔サポート、現場作業の平準化を目的としたものなどさまざまだ。なかでも、現場作業の平準化に役立つのが同サービスのコンテンツ作成機能。現場作業者のレベルに合わせて作業手順書を作成でき、平準化された作業指示コンテンツに従って作業が行えるため、属人化を防げる。
このほか、動画や画像をコンテンツに盛り込み、若手作業者に対する人材教育や技術伝承に使うこともできる。例えば、スマートグラスで収集した熟練作業者の作業映像をコンテンツとしてサーバー内に蓄積。それを教材にすれば効率的な知識・技術の習得が可能になる。
「作業者支援に焦点をあてたシステムは、スマートフォンのアプリケーションなどでも数多く出回っている。我々のサービスでも作業者支援は目的の1つだが、それだけには留まらない。作業結果を管理者が見て、双方向のコミュニケーションを取れるなど、広い範囲で業務をカバーしているのが大きな特長」と社会情報サービス事業部社会システム第三本部の中島和樹氏は話す。
民間需要を開拓
日立システムズでは、公共事業のライフサイクルをトータルにサポートする「CYDEEN」というソリューションを提供している。「CYDEEN」は計画・設計、入札・契約、維持管理、工事施工、会計の5つの製品群で構成され、官庁や自治体関係者の間で高い知名度を持つ。
同サービスは、もともとは「CYDEEN」の中の「維持管理」ソリューションの1つとして開発された。しかし、フィールド作業支援の機能が必要なのは公共事業だけでなく、民間事業者のほうが活用領域は広いと考え、産業分野に向けて拡販することした。
現状ではフィールド作業の領域にサービスを限定しているものの、将来的にはERP(企業資源計画)など上位システムとの連携も視野に入れている。
(2018/3/29 00:00)