[ 政治・経済 ]

【電子版】トランプ大統領、ティラーソン国務長官を解任 後任にポンペオCIA長官(再更新)

(2018/3/14 10:00)

  • 国務長官に指名されたマイク・ポンペオCIA長官(ブルームバーグ)

(ブルームバーグ)トランプ米大統領は13日、ティラーソン国務長官を解任した。ティラーソン氏は1週間近くに及ぶアフリカ訪問から戻ったばかりで、不意打ちを食らった格好だ。

トランプ大統領は同日午前9時(日本時間同午後10時)前にツイッターで、ポンペオ中央情報局(CIA)長官を新しい国務長官に指名すると発表し、政権の外交政策チームを一新することを明らかにした。

ただティラーソン長官によると、大統領がこの決定について伝えたのは数時間後の「正午過ぎ」で、カリフォルニア州に向かう途中の専用機「エアフォースワン」からだったという。ティラーソン長官は13日の終わりに全権限を サリバン国務長官代理に委譲し、31日付で正式に退任する。

米政権では現在、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長とのトランプ大統領による米朝首脳会談の準備が進められている。大統領はこの日、ホワイトハウスで記者団に対し、ティラーソン長官とはイランとの核合意を含む重要な問題について意見の不一致があったと説明。ティラーソン氏は「考え方が異なっていた。レックス(ティラーソン氏)は今、ずっとハッピーだと思う」と加えた。

ティラーソン氏は突然の解任に当惑。スティーブ・ゴールドスティーン国務次官は解任について、長官は「何が起きているのか理解に苦しんでいた」と述べ、「知らされていなかった」と続けた。

トランプ大統領は次期国務長官に指名したポンペオ氏について、CIA長官として「われわれの情報収集の強化や防衛・攻撃能力の刷新、国際的情報活動における友好国や同盟国との緊密な関係構築によって両党議員の称賛を集めてきた」と評価した。

元下院議員のポンペオ氏は、2017年1月の就任以降ほぼ毎日、諜報(ちょうほう)活動報告を通じて大統領との距離を縮めていた。大統領は朝鮮半島の非核化など政権が直面する困難な外交政策課題への対応で必要なスキルをポンぺオ氏はもたらすと述べた。

大統領はまた、ハスペルCIA副長官がポンぺオ氏の後任として長官に就任するとし、CIAでは初の女性長官だと述べた。ハスペル氏はCIAで30年余りにわたり諜報活動に携わった経歴を持つ。

トランプ政権では コーン国家経済会議(NEC)委員長が今月辞任表明。ホワイトハウスの ヒックス広報部長も辞任し、 ポーター秘書官も家庭内暴力疑惑で解任されるなど、混乱が続いている。 シューマー民主党上院院内総務はツイッターで、「この政権のほとんど全ての面での不安定さが米国を弱める」とコメントした。

原題: Trump Shuffles Team by Firing Tillerson and Tapping CIA’s Pompeo(抜粋)

トランプ大統領、気の合うポンペオ氏を国務長官に

(ブルームバーグ)ポンペオ米中央情報局(CIA)長官は国務長官になるためのオーディションをホワイトハウスでほぼ毎朝受けていたようなものだ。トランプ米大統領に極秘諜報報告を行っていたからだ。

トランプ大統領は13日、ティラーソン米国務長官の解任と後任にポンペオCIA長官を起用することをツイッターで発表した後にホワイトハウスで記者団に対し、ポンペオ氏には「膨大なエネルギーと知性」があると評価。さらに「われわれは常に波長が合う」との見解を示した。

カンザス州選出の元下院議員のポンペオ氏(54)は、イランや中国などに対する大統領の政策の主要な擁護者で、2016年大統領選へのロシアの干渉疑惑など物議を醸す問題へのトランプ氏の見解の一部を容認する傾向もあり、強い忠誠心を示していた。

政権当局者によると、トランプ大統領は少なくとも昨年9月以降、ティラーソン国務長官を交代させる案を検討していた。ティラーソン氏はパリ協定からの離脱決定やイラン核合意を巡ってトランプ大統領と意見の相違があった。

CIA長官に起用される前、ポンペオ氏はカンザス州選出の共和党下院議員として6年間を過ごした。10年に草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」の波に乗って共和党が下院を制した際、これに尽力した初当選下院議員の中でもポンペオ氏は、当時のオバマ政権の外交政策への声高な批判で目立つ存在だった。また、12年に起きたリビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件を巡り、クリントン米国務長官(当時)の対応を非難したことで有名になったほか、イラン核合意にも強硬に批判した1人だった。

センター・フォー・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティー(CNAS)のシニアフェローで、 ケリー前米国務長官の下で働いた経験があるイラン・ゴールデンバーグ氏は昨年12月のインタビューで、「ポンペオ氏は外交政策で白黒はっきり区別する強硬なアプローチをとり、それはトランプ大統領の世界観に通じる」と述べ、「それがポンペオ氏がトランプ氏に気に入られるようになった背景だろう」と分析していた。

原題: Trump Chose Pompeo as Kindred Spirit to Take Over U.S. Diplomacy(抜粋)

(2018/3/14 10:00)

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