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[ 化学・金属・繊維 ]
(2018/3/15 14:30)
(ブルームバーグ)東レは15日、炭素繊維複合材料を手掛けるオランダの テンカーテ・アドバンスト・コンポジット・ホールディングス(TCAC)を買収することで親会社の蘭コーニンクレッカ(王立)・テンカーテと合意したと発表した。実現すれば、東レにとって過去最大の合併・買収(M&A)となる。
同社はTCACの全株取得について3月中の 契約締結を目指す。取得額は9億3000万ユーロ(約1230億円)となる見込みで、2018年後半の譲渡完了を予定している。須賀康雄常務は都内で会見し「買収により欧州全体と米国での展開が進む。特に拠点がなかった英国での事業強化につながる」などとメリットを述べた。
東レは米ボーイングなどに現在主流の熱硬化性の炭素繊維複合材料を供給し世界シェア首位だが、熱を加えることで容易に成形できる熱可塑性の炭素繊維複合材料では出遅れていた。熱可塑性に強みを持つTCACの買収により、この技術を活用した部品を必要とする工業品メーカーなどの需要に応じることができるようになる。
開発分野・販路とも拡大へ
須賀常務は欧エアバスなどを顧客に持つTCACの買収について、2025年ごろまでは「航空宇宙分野でのシナジー強化を見込むが、将来的には自動車や医療、産業用途に拡大する」とし「欧米メーカーなどへの販路も広がる」と見通した。買収手続きは入札方式で行われ、原資は借入金で賄うと語った。
米GMは今月、帝人と共同で開発した熱可塑性の炭素繊維複合材料を秋にも発売するピックアップトラックに採用すると 発表したばかり。この材料の自動車用途での採用のは世界初で、今後、航空機や自動車メーカーの間で需要拡大が見込まれる。
SBI証券の 澤砥正美シニアアナリストは、今回の買収により「欧米自動車メーカー向けへの展開が加速するとみられポジティブ」と評価している。一方、ジェフリーズ証券の 東佳宏アナリストは、戦略的価値を認めながらも「買収価格はかなり高く」、株価には「ネガティブ」と英文リポートで指摘した。
(2018/3/15 14:30)