[ 政治・経済 ]
(2018/4/6 12:30)
内閣府は6日、自民党の宇宙・海洋開発特別委員会の小委員会に、水深2000メートルより深い海域での資源調査技術や生産技術を開発する計画の概略を示した。(冨井哲雄)
自律型無人潜水機(AUV)を利用した深海の資源調査技術や、レアアース(希土類)泥の採掘や引き揚げのためのシステムを開発する。さらに開発した技術の実証も行う。日本の排他的経済水域(EEZ)での資源開発を促すとともに、水中通信技術や測位技術など他分野への応用も期待される。
内閣府が主導する政策「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の次期課題として7月以降に研究開発を始める。プロジェクト全体で年間20億―30億円を計上する。期間は2022年度までの5年間。
14年度に始まった現行のSIPの海洋プロジェクトでは沖縄海域にある水深700~2000メートルの海底熱水鉱床を調査対象としていた。次期課題では伊豆・小笠原海域や南鳥島海域に調査対象を拡大する。
水深2000メートルより深い海域でも使えるように現行技術を改良。現行SIPの計画の2・5倍にあたる10機のAUV同時運用のため、通信技術や協調制御技術を開発する。さらにAUVを利用し5000~6000メートルの海底を調査し、従来より高解像度の海底下の地層図を作成する。さらにAUVの深海での充電やデータ転送を可能とする技術を開発する。
また6000メートルの深海底からレアアース泥の回収が可能な「柱状採泥機」を開発する。海底下でジェット噴射により泥を液状化し、管でレアアース泥を吸い上げ船上に引き上げる仕組み。海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」を改修せずに使えるためコストの増加を抑えられる。レアアース泥の高濃度分布域の資源量評価や、分布域で活動可能な調査機器などの開発と採泥・揚泥に関する基礎研究を行う。22年度には南鳥島で実海域試験を行う予定だ。
(2018/4/6 12:30)