[ 政治・経済 ]
(2018/4/8 13:00)
F22ラプター(ブルームバーグ)
米軍のF22ラプターとF35ライトニング2は、共に世界で最も洗練されたステルス戦闘機だ。他の米軍機を率い地上と空中の標的に狙いを定めるが、残念なことにF22とF35の間でのコミュニケーションには難点がある。
F22はもともと制空戦闘機として設計された。米ソ冷戦が続いていた1980年代半ばに開発が始まったが、F22の位置を敵側に把握されないようにするステルス性能を最大限にするとの要件は通信システムにまで及んだ。だが、予算への配慮と冷戦終結後に当初広がった楽観論でF22の製造は縮小され、2009年には当時のゲーツ国防長官が生産中止を提言した。これが問題の始まりだった。
F22とF35はいずれも「第5世代ジェット戦闘機」だ。空軍が今のところ保有するF22は183機。空軍が求めていた機数の半分以下で、もし望み通りの保有機数であったならば、他の第5世代機との通信システムの統合がこれほど大きな問題とはなっていなかったはずだ。
F22の航空機間データリンク(IFDL)は、より新しい戦闘機であるF35のシステムと比べかなり古い。F22のIFDLプロトコルはF35などの戦闘機からのデータ受信は可能だが、F22が集めた膨大な状況データの送信はできない。
「エア・フォース・マガジン」は最近の記事でこうした状況を「バベルの塔」に例えた。必要な改良が迅速に行われなかったことから、ティール・グループの防衛用エレクトロニクス担当シニアアナリスト、デービッド・ロックウェル氏は「15年前になされるべきで、可能でもあった多くの改善点がある」と述べ、「空軍はF22に関する多くことを先延ばししてしまった」と指摘した。
(2018/4/8 13:00)