[ 政治・経済 ]
(2018/4/21 07:00)
【ワシントン時事】トランプ米政権は19日、攻撃型無人機の輸出規制緩和や武器輸出手続きの迅速化などに関する新方針を発表した。武器輸出を拡大して国内産業を潤し、雇用拡大につなげたい考え。だが、輸出管理がずさんになり、人権弾圧を行う国や組織にも米国製兵器が渡る危険性が懸念されている。
米メディアによると、規制緩和の対象となる無人機は、航続距離が比較的短く、搭載可能兵器が少ない小型機や偵察任務を専門とする機体。これまでは「安全保障上の差し迫った理由」がない限り輸出が認められなかったが、日本や韓国といった同盟国だけでなく、インドや中東の友好国などにも輸出を容易にする。
世界的に無人機市場が拡大する中、米国製無人機の販売は、より規制の緩い中国やイスラエル製に押されていた。
また、通常兵器や防衛装備品についても輸出手続きを簡素化し、迅速に承認が下りるようにする。トランプ大統領は18日、安倍晋三首相との共同記者会見で、これまで数年かかることもあった輸出手続きを「数日程度」にすると表明。「日本だけでなく、同盟国が米国製武器を注文した場合、素早く入手できるようにする」と述べた。
新方針では、政権幹部や在外公館の外交官、駐在武官らにも米国製武器のセールスを積極的に展開するよう求めるという。
ただ、輸出規制緩和には反対意見も根強い。軍備管理専門家のウィリアム・ハータング氏は「トランプ政権は米国製武器がどのように使われるかより、経済的利益を重視している」と批判。より高性能の武器が世界各地の戦場に投入されることで「紛争や犠牲者の拡大につながる恐れがある」と語っている。
(2018/4/21 07:00)