[ 政治・経済 ]
(2018/4/29 07:30)
ドイツのメルケル首相は、欧州産鉄鋼およびアルミニウムを関税の対象から除外するとの公約をトランプ大統領から得ることができなかった。経済規模上位の米と欧州連合(EU)が貿易戦争の瀬戸際に立った格好だ。
メルケル首相は、EUを米関税の対象外とする措置が5月1日に失効することを踏まえ、ホワイトハウスで4月27日に開かれた米独首脳会談ではトランプ大統領と貿易摩擦について話し合ったと述べた。その中で、EUとのより広範な貿易交渉についての提案も行ったという。だが、トランプ大統領が納得した様子ではなかったことを、メルケル首相は示唆した。
メルケル首相はトランプ大統領との共同記者会見で、「大統領は決断を下す。それは確かだ。われわれは交渉の状態とそれぞれの評価について協議した。決めるのは大統領だ」と話した。
一方のトランプ大統領は、貿易をより公平かつ「互恵的」にするため「取り組んでいる」と述べるにとどめ、真意は明かさなった。貿易不均衡の責任は過去の米大統領にあるとし、「私は首相にも、ドイツにも責任を押しつけない。EUのせいにもしない」と語った。
メルケル首相とフランスのマクロン大統領は今週、入れ替わりでワシントンを訪問し、EUを関税から除外する措置の延長でトランプ大統領の説得を試みたが、大きな貿易紛争が始まる可能性は結果的に残った。米商務省の統計によると、ドイツは鉄鋼輸出量で世界5位で、EUでは最大。(ブルームバーグ)
(2018/4/29 07:30)