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[ 自動車・輸送機 ]
(2018/5/9 10:30)
イラン核合意からの米国の離脱を受け、ボーイングとエアバスによるイランへの歴史的な航空機販売の機会は閉ざされることとなった。
航空機メーカー大手2社は制裁停止期間にイランの航空会社と400億ドル(約4兆3600億円)規模の取引をまとめていたが、トランプ米大統領が8日、米国は対イラン制裁復活を目指すと発表したことで、取引完了は望み薄となった。ムニューシン米財務長官は記者団に対し、両社がイランに輸出するための許可は取り消されると説明した。
エアバスはフランスのトゥールーズに本拠を置くが、ジェット機部品の10%以上を米企業から調達しているため、米国の対イラン輸出規制の対象になる。エアバスはイラン核合意からの米国離脱の影響を「慎重に分析」した上で対応を決める方針を示した。
ボーイングのバイスプレジデント、ゴードン・ジョンドロー氏は発表資料で「次のステップについて米政府と協議する。これまでと同様、当社は引き続き米政府の主導に従う」と述べた。
オバマ前政権は2016年後半、エアバスとボーイングの両社にイラン航空への販売を認可していたが、両社は異なる形で注文を処理している。エアバスは受注残高に売り上げを計上し、ジェット機3機を納入。同社傘下のATRはプロペラ機8機を引き渡した。
一方、ボーイングはイラン航空との取引をこれまで完了しておらず、トランプ政権発足後は歴史的な取引の行方について慎重な見方を示していた。最近ではイラン航空に今年引き渡す意向だったジェット機「777-300ER」の一部について別の顧客をひそかに手配していた。
エアバスの受注残にはイラン航空向けで95機が未納入となっており、そのうち16機はワイドボディー機の「A350」で、28機は「A330ネオ」。ATR製プロペラ機12機も依然イラン航空へ引き渡す予定となっている。
トランプ大統領はイラン核合意に長年批判的だったため、今回の発表に関する投資家の反応は限定的だった。ボーイング株の8日終値は前日比0.6%の下げにとどまった。エアバス株はパリ市場でほぼ変わらず。(ブルームバーグ)
(2018/5/9 10:30)