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[ 科学技術・大学 ]
(2018/5/12 12:00)
米宇宙ベンチャーのスペースXは11日午後4時14分(現地時間)、フロリダ州の米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センターからバングラデシュの通信衛星「Bangabandhu Satellite-1」を搭載した「ファルコン9ブロック5」ロケットを打ち上げた。衛星は打ち上げから約33分後に地球の静止軌道に投入された。同ロケットは技術的トラブルにより、発射約1分前にカウントダウンが自動停止。当初予定していた10日の打ち上げを翌日に延期していた。
ファルコン9ブロック5は、NASAの基準を満たした有人宇宙飛行による国際宇宙ステーション(ISS)との往復飛行を目指すロケット。従来のファルコン9ロケットの実質的な最終アップグレードモデルに位置付けられ、地球上の2拠点間を1時間以内に移動し、最終的には人間を乗せて火星に行くことを目指すBFR(ビッグ・ファルコン・ロケット)開発を念頭に設計されている。
迅速な再利用を目的として熱シールドや着陸脚に改善が図られていて、カラーリングも一部で黒色に変更された。スペースXの発表によると、限定されたわずかなチェックと改修で10回以上の再使用フライトが可能で、さらにリファービッシュによる再整備で100回、24時間後の再打ち上げにも耐えられる設計だという。
まさに「宇宙タクシー」実現に着々と進むスペースXは、今回も再使用型ロケットの帰還技術で強さを見せつけた。“Of Course I Still Love You”と名付けられた大西洋上のドローン艀に、打ち上げ約8分30秒後には第1段ロケット・ブースターを無事に垂直軟着陸させることに成功した。
スペースXは昨年6月に、ISS向け再使用ロケットでケープカナベラル空軍基地にブースターの垂直着陸を成功させているほか、今年2月には超大型のファルコンヘビーでも同様に、陸上回収に成功している。陸での着陸と並行して、洋上台船での回収試験も進行する。16年4月に初成功し、今回もより不安定な海洋上での垂直着陸を目指していた。
Bangabandhu Satellite-1 Mission(SpaceX提供)
(2018/5/12 12:00)