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[ 自動車・輸送機 ]
(2018/5/28 07:00)
【ワシントン=時事】トランプ米政権が輸入自動車と部品の関税引き上げについて検討を始めたことは、国内外に波紋を広げている。自動車を基幹産業とする日本、ドイツに打撃を与えるとの試算もあり、両国では危機感が強まる。米国内で輸入車の価格が上昇すれば、輸入業者や消費者のほか、米自動車メーカーにも影響が及ぶとみられる。
ドイツのIFO経済研究所の試算によると、米メディアが報じたように最大25%の関税が輸入車に課された場合、日本の国内総生産(GDP)を約5450億円(最大0.1%)押し下げる可能性がある。最も大きな影響を受けるドイツは約6460億円(0.16%)落ち込むという。
米国の昨年の輸入車台数は国・地域別でメキシコが最も多く、カナダ、日本、欧州連合(EU)が続く。乗用車や小型トラックなど軽量自動車の米販売全体に占める日本車の割合は1割を超え、年々増えている。トヨタ自動車は売れ筋のスポーツ用多目的車(SUV)を米国外で多く生産しており、追加関税は痛手だ。ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は声明で「挑発と受け止める」と強く反発した。
今回の輸入制限案は「最先端の自動車技術の開発でしのぎを削る日本、ドイツなどをけん制する狙い」(米通商専門家)もありそうだ。商務省は23日の声明で、輸入車が増えることで、インターネットに常時接続するコネクテッドカー(つながる車)や自動運転車、燃料電池などの開発能力が低下したかどうかも調査すると明記した。
自動車は米国最大の輸入品目で全体の15%強を占めており、追加関税は米国の消費者の懐を直撃しかねない。ゼネラル・モーターズ(GM)の国内販売は海外生産車が3割弱を占める。また、一般的に米国産車に使われる部品の多くはメキシコ製や中国製とされており、輸入部品に関税が上乗せされれば、米国産車自体も値上がりするとの見方も出ている。
(2018/5/28 07:00)