[ 金融・商況 ]
(2018/8/20 13:30)
ベネズエラのマドゥロ大統領は17日夜、混乱している経済の立て直しに向け、通貨ボリバルの95%切り下げを柱とする大規模な対策を発表した。既に窮状に陥っている国民にさらなる忍耐力を試す動きだ。
ボリバルの公式レートは1ドル=600万ボリバルと、これまでの同28万5000ボリバル前後から変更される。この影響を一部緩和する措置として最低賃金は3500%引き上げられて月間30ドル相当になる。マドゥロ大統領は今回の政策に国際通貨基金(IMF)の関与はないと胸を張ったが、若干紛らわしい仕掛けはあるものの、政策は古典的で正当な経済対策と類似している。
ただこうした措置の結果として最も考えられるのはインフレの悪化だ。今年の物価上昇率は既に100万%と予想されており、今回の対策で物価上昇にさらに拍車がかかる見通し。ブルームバーグの指数によると、足元の物価上昇率は年率10万8000%に達している。
べネズエラでは数年にわたる放漫な政策で成長率は引き下げられ、物価は急騰。かつて中南米で最も富裕な国の1つから、難民の危機に瀕する機能不全の国に転落した。こうした中で打ち出された新たな経済戦略はマドゥロ政権の窮余の策だ。故チャベス大統領から政権を引き継いでから6年が経つ中で政権交代を求める声が強まっており、マドゥロ大統領には政権運営立て直しを巡る圧力が増している。
政府は通貨切り下げと同時に通貨の単位を5桁外すデノミに加え、新たな通貨「ボリバル・ソベラノ」の導入と通貨の名称変更を実施する。新通貨の価値は仮想通貨「ペトロ」に連動する。ペトロは原油が裏付けとなっており、政府は1ペトロ=60ドルまたは3600ボリバル・ソベラノと設定。ぺトロは変動し、物価の決定に利用される。(ブルームバーグ)
(2018/8/20 13:30)