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[ 商社・流通・サービス ]
(2018/9/9 05:00)
台風21号の強風にあおられ、関西国際空港の連絡橋にタンカー「宝運丸」が衝突した事故で、船に設置された風速計が上限の60メートルを超え計測不能になっていたことが8日、分かった。同船はエンジン全開で衝突を避けようとしたが強風で制御不能になったとみられ、専門家は停泊場所を誤った可能性を指摘している。
運航会社によると、宝運丸は台風前日の3日午後から、空港島の約2キロメートル東でいかりを下ろし停泊。台風が接近した4日午後0時半ごろに風速が20メートルを超えたため、流されないようエンジンを始動させたが、いかりを引きずる「走錨(そうびょう)」状態に陥った。
台風21号の影響で、関西空港の連絡橋に衝突したタンカー(4日、関西空港海上保安航空基地提供)
海上保安庁大阪湾海上交通センターは午後1時ごろ、「流されているのではないか」と宝運丸に船舶電話で注意し、空港との距離も伝えた。同30分すぎに再度警告したが、同船はエンジンを全開にしても流され続け、同45分ごろ連絡橋に衝突した。
当時、船の風速計は60メートルを超えて振り切れた状態だったという。関西空港では同38分に観測史上最大の58.1メートルを記録。洋上では、より強い風が吹いていたとみられる。
海上保安庁は荒天時の操船について、空港島から5.5キロメートル以上離れるよう船舶に求めていた。要請に強制力はないが、宝運丸の船長は地形や水深などを考慮した結果、空港島近くの場所が安全と判断したといい、海保などが経緯を調べている。
船舶事故に詳しい竹本孝弘・東京海洋大教授(海上安全)は「60メートルは走錨が避けられないとんでもない風速」と分析。その上で「風向きを考慮し、ある程度流されても事故にならない場所を選ぶべきだった」と停泊場所の選定に問題があった可能性を指摘した。(時事)
(2018/9/9 05:00)