[ オピニオン ]
(2018/9/19 05:00)
建設産業でIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の導入が活発だ。特に現場の安全管理や事故防止のための利用が広がる。
一例が夏場の熱中症対策。シャツ型の生体センサーや腕時計型のIoT機器を身につけ、心拍数を取得する光景も増えてきた。作業員一人ひとりの体調変化を即時に把握し、体調管理に生かす。
事故防止にもAI応用が進む。大林組が開発した安全装置は建機に設置した複数のカメラが作業員を高精度に認識、接近の恐れを検知すると強制的に建機を停止し接触事故を防ぐ。検知精度を高めるためAI技術のディープラーニング(深層学習)を使い、建設現場で想定される作業姿勢や世界中のヘルメット形状を学ばせた。
清水建設はトンネル災害事故の大半を占める切羽(掘削面)崩落災害と重機接触災害に着目する。「下げ止まっている災害発生件数をゼロにしたい」(河田孝志常務執行役員)と、次世代型トンネル構築システム開発に着手した。
IoTやAIを駆使して切羽の形態、作業員の状況や位置、坑内環境や車両の情報を取得・分析し、客観的な危険予測を目指す。現場の安全確保という課題をいかに解決するか、白熱する研究開発が道を拓(ひら)く。
(2018/9/19 05:00)