[ ICT ]
(2019/1/7 13:00)
韓国のサムスン電子は6日、2019年型サムスン・スマートTVで米アップル「iTunes(アイチューンズ)」の映画・テレビ番組と「AirPlay(エアプレー)2」のサポートの提供を今春開始するとウェブサイトで発表した。アップルが競合相手の製造するテレビにサービスを提供するという、最近まで考えられなかったような合意だ。
ラスベガスで開催される家電見本市「CES」に先立つ今回の動きは、「iPhone(アイフォーン)」など機器の販売低迷が続くアップルが、ハイテク・メディアサービス企業へかじを切ろうとする状況を示すものだ。同社を長年カバーしてきたアナリストのジーン・マンスター氏は「ハードウエア第一のアプローチを変え、第三者と組みサービス収入を拡大させるのに前向きであることをさらに裏付けるものだ」と話した。
7日には、LG電子とビジオ、ソニーが自社の最新TV機器をエアプレーに対応させることを明らかにした。ユーザーがアップルの動画をストリーミング再生できる機器が増えることになる。ただ、3社との合意にはサムスンとの提携のようなiTunesへのアクセスは含まれない。
アップルは先週、ホリデーシーズンを含む18年10-12月(第1四半期)のアイフォーン販売が予想を下回ったとして市場にショックを与えたが、サービス収入は過去最高の108億ドル(約1兆1700億円)に達したと説明した。
アップルとサムスンはスマートフォンの特許を巡り約7年間にわたって係争状態にあったが、昨年6月に最終的に和解し訴訟に終止符が打たれた。アップルの元マーケティング担当幹部マイケル・ガーテンバーグ氏は今回の合意について、「アップルがサムスンをかつてのような敵とは恐らく見なしていないことを示すだろう」とし、「アップルとサムスンはともに懸念すべき別の相手がいる。敵の敵は友だ」と指摘した。
ネットフリックスやアマゾン・プライムのオリジナルコンテンツ提供に対抗するには、アップルはコンテンツを届ける範囲をできるだけ広げる必要がある。スタティスタによると、サムスンのスマートTVは昨年、33%の市場シェアを握り、ビジオやLG、ソニーを制していた。
マンスター氏によると、今回の提携はアップルが物理的なテレビ分野に参入する計画を現時点で持たないことを示唆しているという。iTunesをサムスンのスマートTVに開放することになるため、サムスンのTVユーザーはアップルのコンテンツにアクセスするためにセットトップボックス(STB)「Apple TV」を購入する必要はなくなる。(ブルームバーグ)
(2019/1/7 13:00)