[ 政治・経済 ]
(2019/1/27 05:00)
【クアラルンプール=時事】マレーシアのアズミン経済相は26日、同国政府が、中国の政府系企業と共同で進めていた「東海岸鉄道計画」の中止を正式決定したと明らかにした。地元メディアに語った。中国側から高利で借り入れた事業費がマレーシアの国家財政を圧迫すると判断した。
東海岸鉄道計画は、マレーシアがナジブ前政権時代の2016年10月から進めていた、マレー半島を横断する全長688.3キロメートル、総工費810億リンギ(約2兆1500億円)に上る大型公共事業。中国政府が推し進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」で重要な事業と位置付けられており、中止決定は中国に打撃となりそうだ。
アズミン氏は記者団に「計画を中止しなければ、利子だけで毎年5億リンギ(約130億円)を負担することになる」と中止理由を説明した。計画中止は2日前の閣議で決定したという。
東海岸鉄道計画では、労働者が中国から派遣され、地元経済への貢献が少ないことも問題視されていた。マハティール首相は「計画はマレーシアに何のメリットもない」と批判し、政権交代後の昨年7月に工事中断を命令。その後の訪中で計画中止の意向を習近平国家主席らに伝えていた。
今後は中国側に支払う多額の違約金の扱いや、別事業者による計画続行の可否などが焦点となる。中国とマレーシアの協力の象徴だった大型事業が中止されたことで、両国の関係に影響を及ぼす可能性もある。
(2019/1/27 05:00)