[ ICT ]
(2019/2/3 15:00)
米カリフォルニア州に本拠を置く防犯カメラメーカーのペルコは昨年、高解像度の映像や最先端機能を搭載したモデルについて非常に高い販売目標を設定した。しかし、同社の計画は議会の行動で脱線した。
昨年8月の国防権限法で、米軍および政府が中国当局に近いと見なされる企業からハイテク製品を購入することが禁止されたためだ。同法案が浮上した際、ペルコは新製品「GPC・プロフェッショナル4Kカメラ」を米政府に供給する考えを断念し、販売目標を引き下げた。同製品は中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の半導体部門、ハイシリコン(海思半導体)製の部品を使用している。
華為技術は企業秘密の窃取や対イラン制裁違反といった疑惑のほか、販売する機器が中国共産党によるスパイ活動に利用される可能性などから米当局の広範な取り締まりの標的とされている。
米当局が主に照準を合わせているのは、世界中の通信ネットワークの運営を支援する華為技術製通信機器だ。しかし、ハイシリコン部門の半導体製品は、監視カメラの約6割に搭載されているだけに、懸念が強まっている。全米各地のピザ店やオフィス、銀行などさまざまな場所に設置されている監視カメラからの映像が、中国製半導体で処理されていることを意味する。
華為技術は同社製品がスパイ活動に使われてはいないとし、中国政府の手先ではないと繰り返し説明している。中国製チップが全米各地の無数のカメラを作動させている事実を心配する議員もいる。特に懸念されているのは、中国の高度に発達した国内監視能力が米国に敵対する可能性もある点だ。
下院軍事委員会メンバーのマイク・ギャラガー議員(共和、ウィスコンシン州)はインタビューで「中国が自国で行っていること、監視カメラを使いジョージ・オーウェルが描いたような巨大国家を建設していることに関連している。国外でもひそかに実施する可能性があることが警戒する要因だ」と語った。
ハイシリコン製チップ搭載カメラがこのように使用された証拠はないが、最近のハッキング事件では可能なことが示されている。2016年に起きた大規模なアクセス障害で、中国の杭州雄邁信息技術が製造したカメラがサイバー攻撃開始の際に使われていた。この事件はカメラ業界に衝撃を与えたが、こうした脆弱(ぜいじゃく)性はハイシリコン製機器では見つかっていないと業界関係者は話している。ハイシリコンに取材を試みたが返答はない。(ブルームバーグ)
(2019/2/3 15:00)