(2019/2/15 00:00)
経済産業省はモノづくりをするスタートアップ企業に向け、量産化の工程をワンストップで支援する拠点をつくる「スタートアップファクトリー構築事業」を実施している。
3Dプリンターなどの低価格化やクラウドファンディングなど資金調達方法の多様化で、一品モノのプロトタイプ製作は容易になった。モノづくりに参入するスタートアップ企業が増える一方で、量産化は多額の設備資金と多くのプレーヤーが必要となる。量産化の設計や試作、部品調達、組み立てラインの確保など多くの工程、それに伴う事業者が必要だが、スタートアップ企業の理解が薄い。つまずく企業が多いことから「量産化の壁」といわれ、モノづくりの大きな課題となっている。
そこで同事業では量産化の設計・試作向けの設備や技術アドバイザー、教育プログラムをスタートアップ企業に提供する事業を募集。事業を通して、設計・試作を担う事業者や生産工場、ベンチャーキャピタルなどとネットワークを構築し、スタートアップ企業の量産化を支援する。2018年6月に全国・事業・事業者を採択。各事業は2月の完成を目指し、3月に成果報告イベントを予定する。
協力工場とのマッチングで生産を依頼
参加事業者の一つであるコプラ(東京都千代田区、石附(いしづき)雄一社長、03・3230・7571)は、ウェブサービス「FabSync(ファブシンク)」を通して、スタートアップ企業と量産協力工場とのマッチングを行う。サイト内で製品のカテゴリーや工程に沿ってフォームを入力することで、適した工場にプロトタイプ開発から量産まで商品生産を依頼できる。協力工場を検索し、直接の交渉もできるが、直接の問い合わせを希望しない工場には同社のコーディネーターを介してマッチングをする。工場側にも同社を通すことで信頼が担保された企業が紹介されるなど、リスクの排除につなげる。
想定するスタートアップ企業は国内だけでなく、米国、欧州、アジアなど海外まで見込む。電子機器などIoT(モノのインターネット)製品を中心に、幅広い製品製作に対応する。協力工場は全国から募り、将来は約100社のネットワークを構築する。
コプラは、これまで国内外の企業の商品開発からマーケティングなどを手がけてきたことから、完成した製品のプロモーション等にもその経験を生かせると考えている。自身も大手エレクトロニクスメーカー出身の石附社長は、「投資家や流通などとも連携を深め、製品開発の出口まで作ることを目指している」とモノづくりの活性化を目指す。
「FabSync(ファブシンク)」の詳細はこちら
(2019/2/15 00:00)