[ 人物 ]
(2019/2/11 05:00)
「泡」を白く美しく
サッポロビール酒類技術研究所の浅井梓さん(28)は美味しさの要素の一つとなる「泡」の研究に携わっている。「鮮度の高いビールの泡はより白く美しいこと」を解明し、刷新したのが「サッポロ生ビール黒ラベル」。新たな目標をビールの泡持ちの良さに定めて“楽しい”研究の日々を送る。
自信を持ってやり抜く
奈良女子大学・食物栄養学科を2013年に卒業。しかし食品の発酵に興味があり、微生物の研究に携わりたくて京都大学大学院の応用生命科学科に進学。分子微生物科学研究室で海洋性微生物の研究に取り組みました。
15年の卒業を前に、食品の研究者になりたいと考えていました。自らの研究と商品に近い分野と感じたからです。研究により商品のバックアップができたら素晴らしいという思いでした。この思いを実現するため酒造会社やビールメーカーを志望しました。ほかにヨーグルトなどもあったのですが、“酒”を選んだのは酒造会社の多い京都に住んでいた影響でしょうか。
所属する酒類技術研究所での研究テーマは「ビールの泡」でした。泡持ちや白さ、物性など物理学的な研究のため、「難しいなあ」と感じました。同じ職場に“泡の研究の第一人者”がいて、相談しながら進めました。
特に大変だったのが、これまでになかった泡に対する色のアプローチ。泡の色を数値化して測れることを証明しなければなりません。さらに色が品質に影響することも明らかにする必要がありました。
これを認知してもらえるように一つひとつデータを蓄積していく毎日でした。成果が実際のリニューアルにつながって本当に良かったと思います。「好きなことは自信を持ってやり抜く」というのが後輩へのアドバイスです。(文=編集委員・井上雅太郎、写真=森住貴弘)
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◇サッポロビール 酒類技術研究所 研究員
(2019/2/11 05:00)