(2019/3/1 00:00)
カメラ映像で業務効率化、人手不足の対応策に
さまざまな場所で設置が増えている監視カメラは、防犯以外の“おもてなし”などに活躍の場を広げている。三菱電機は長年培ってきた画像処理技術に、人工知能(AI)を加えて進化させ、駅や流通店舗、製造現場の困り事を解決。顧客の「ビジネスをあたらしく」し始めている。
賢く進化するネットワークカメラ・システム(MELOOK3)
三菱電機のネットワークカメラ・システム「MELOOK3(メルックスリー)」は、映像解析システムと連携し、高度なソリューション提供が可能。
通信システムエンジニアリングセンターの神田英伸セキュリティシステム部長は、「今は“監視だけ”ではない。『どう活用するか』がポイントになっている」と指摘する。
例えば、公共施設などで白杖を持つ人をカメラが見つけて、職員に知らせ、困っていればすぐに支援できる。また、歩く動線を解析し、ふらついている人を見つけられる。「インバウンド需要に向けて、カメラは“おもてなし”に役立てられる」と神田部長は話す。
従来の映像解析では、「ベビーカーを押す人」と「車イスを押す人」の違いを定義し、見分けることは難しかった。AIは画像を学習して、その画像の特徴を自ら抽出するため、学習を重ねることで似ているものも見分けられる。
三菱電機はAIを使って、顧客の現場の気づきに役立つ映像解析ソリューションを「kizkia(きづきあ)※」として展開。「ふらつき検知」「置き忘れ検知」「人の属性検知」「侵入検知」など、多様な映像解析メニューを用意し、顧客の要望に応えている。
映像解析ソリューションのニーズが増加
通信システム事業部の前田和義映像ソリューション営業部長は、「ここ数年、カメラ映像を使って、業務を効率化したいというニーズが増えてきた」と話す。流通や工場などさまざまな現場で、人手不足は深刻な問題だ。
例えば、ある店舗では、お得意様の来店など、何かに気づく部分はカメラが担い、従業員は来店客に接する時間を増やし、少ない人数でサービスの質を高めている。「費用対効果で選ばれている」(前田営業部長)。
防犯も同様に効率化できる。AIを使えば、複数のカメラ映像から、特定の人を瞬時に見つけられる。何かが起きた時の初動が早くなる。
こうした映像解析等で活躍する三菱電機のAI技術「Maisart(マイサート)」の特徴は、“コンパクトなAI”ということだ。一般的にはコンピューティングパワーの大きいGPU(画像処理半導体)でAIを動かすが、三菱電機のAIは軽い処理で済むためCPU(中央演算処理装置)でも十分動かせる。顧客は高価なサーバーを購入する必要がなく、初期費用や運用コストを低減できる。
「映紋」で実現する効率的な作業分析
また、三菱電機は「映紋」という人の「動き情報」を分析してパラメータ化する映像解析技術も持つ。「映紋」は映像から作業者の手や腕、頭がどれだけ動いたかといった「動き情報」を抽出し、「動き情報」のヒストグラムを時系列に並べた分布図。生産現場の作業分析ツールとして提案を始めた。
まだら模様の「映紋」は、同じ工程の人や時間帯による作業状況の違いを比べる時に威力を発揮する。映像を常時見なくても、お手本となる正常作業の「映紋」と現場作業の「映紋」を比較することで、現場作業の作業時間計測と異常作業検出が可能となる。例えば、正常な作業と比較し、異常な動作があれば動き分布(映紋)も変わるので、異常作業をすぐに見つけられる。異常な動作があった時に警報を出して、不良品の流出を防ぐことができる。
3月5-8日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「SECURITY SHOW(セキュリティーショー)2019」では、ネットワークカメラとAI、画像解析を組み合わせたソリューションを展示。セキュリティーにとどまらない快適な社会を実現する技術を披露する。
※kizkiaは、三菱電機インフォメーションシステムズ(株)の製品です。
(2019/3/1 00:00)