[ 金融・商況 ]
(2019/3/4 15:00)
デジタル通貨交換業者のクアドリガ・フィンテック・ソリューションズの創業者ジェラルド・コットン氏が死亡した時、アカウント保有者は、同社のオフラインストレージに保管されている1億9000万カナダ・ドル(約160億円)相当の仮想通貨を回収するのに必要な暗号化アクセスキーが永久に失われたのではないかと懸念した。
しかし、「コールドウォレット」と呼ばれるこのストレージは、昨年4月から空になっていたことが今では分かっている。
バンクーバーを拠点とする同社は1月末に操業を停止。11万5000人の顧客は現金と仮想通貨の計約2億6000万カナダ・ドルを回収できなくなっている。同社は2月5日から、裁判所が承認した債権者保護を受けており、アーンスト・アンド・ヤングが管財人としてクアドリガの取引を整理している。管財人による3月1日の報告は懸念を深めるものだった。
クアドリガは主にコットン氏が自身のノートパソコンを使用して運営しており、夫人によると、同氏は通常、「ハッキングなどからコインを保護するために大部分をコールドストレージに移していた」というのだ。
アーンスト・アンド・ヤングは、クアドリガが以前、ビットコインを保管するために使用していた6つのコールドウォレットのアドレスを特定した。そのうち5つは2018年4月以来残高がなく、6つめは「別の交換業者からビットコインを受け取るために使用され、そのビットコインは昨年12月3日にクアドリガのホットウォレットに移されたもようだ」という。それ以降の唯一の活動は6つめのウォレットへのビットコインの偶発的な移動で、先月のこの動きは先に公表されていた。
6つのコールドウォレットについての予備調査では、14年4月から18年4月までの月末残高が0から最高2776ビットコインだったことが分かった。4年間の月末の平均残高は約124ビットコイン。ウォレット内のビットコインの一部は他の交換業者の口座に移されたもようだ。
アーンスト・アンド・ヤングはクアドリガが使用していた可能性のあるさらに3つのコールドウォレットのアドレスを特定したが、それらにも仮想通貨は残されていなかった。
他の交換所で作成された14のユーザーアカウントがあり、アーンスト・アンド・ヤングは14の取引所に問い合わせ4社から回答を得た。業者の名前は明らかにされていない。
アーンスト・アンド・ヤングは、コットン氏個人名義になっているクアドリガ関連データへのアクセスの許可を裁判所に求めている。(ブルームバーグ)
(2019/3/4 15:00)