[ 金融・商況 ]
(2019/7/12 05:00)
【ワシントン=時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11日、米交流サイト最大手のフェイスブック(FB)が発行を計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」に関し、金融システムなどへのリスク評価に「12カ月以上かかる」と明言した。FBは2020年の導入を目指すが、計画通りの推進が困難になる可能性が出てきた。
パウエル議長は上院銀行委員会での証言で、リブラの普及には「重大な懸案がある」と改めて警戒感を示した。金融革新技術の利点を挙げる一方、「計画を進める前に個人情報保護、マネーロンダリング(資金洗浄)などをめぐる問題を徹底的に評価する必要がある」と訴えた。
リブラが普及すれば、スマートフォンなどによる国境を越えた個人間の送金や資金決済が簡単にできるようになる。パウエル議長は「ビットコインを決済に使う人はほとんどいない」として、利用者が全世界で20億人を超えるFBがリブラを展開した際の金融システムリスクは、はるかに大きいとの認識を示した。
さらに「責任を持つ監督当局が一つでないことが課題だ」と、国際的な枠組みでの対応が必要になる可能性を指摘。17、18両日にフランスのシャンティイで開かれる先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で「(リブラも)議題になる」と明らかにした。
(2019/7/12 05:00)