[ トピックス ]
(2019/7/24 05:00)
気象庁によると2005年から17年の12年間で落雷害の約30%が8月に集中している。落雷により雷サージと呼ばれる異常な高電圧や大電流が発生し、家電製品や情報通信機器などの電子機器の故障、生産ラインの停止といった重大な被害をもたらす。無線基地局などの鉄塔に落雷すれば、無線装置や電源機器に被害が及ぶ。こうした雷サージの侵入を防ぎ、落雷被害(雷害)を防止する技術を各社が提供しており、安定した企業活動を継続するためにも導入が求められている。
構造物を守るシステム 建物損傷・火災を防ぐ
雷害は直撃雷や誘導雷があり、両方に対して対策が必要とされる。直撃雷は雨雲と大地間の放電による落雷を指し、ビルなどの構造物や樹木などの物体に直接落雷する現象。建物の損傷や火災原因となり、雷サージを発生させることもある。
被害を防ぐ方法として外部保護システム(外部LPS)が挙げられ、①受雷部システム②引き下げ導線システム③接地システム―の三要素で構成される。
受雷部システムは雷撃を受けるための部分で、主な構成要素は避雷針。避雷針は落雷を誘導し、建物の代わりに雷撃を受ける役目がある。避雷針で受けた雷電流を接地システムに流すのが引き下げ導線システムで、接地システムは地中に埋め込んだ接地電極で雷電流を大地に拡散させる。
電子機器の保護
電子機器の雷害対策で要注意なのが誘導雷だ。誘導雷は建物や樹木に直接落雷があった際、電磁誘導により付近の通信線や電線などに異常な電流が発生し、建物内部に侵入する現象。この異常電流は雷サージと呼ばれ、家電製品や情報通信機器、設備機器の破損や誤作動、劣化、稼働停止などの原因となる。建物付近の落雷に限らず、遠方での落雷でも影響を受ける可能性がある。
(2019/7/24 05:00)