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[ 医療・健康・食品 ]
(2019/8/8 14:30)
米政府は、遺伝子操作を加えた患者のT細胞を使うがん免疫療法であるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法を全国でメディケア(高齢者・障害者向け医療保険)の給付対象にすることを決めた。CAR-T細胞を用いる治療薬はノバルティスとギリアド・サイエンシズが提供しているが、メディケア給付が一貫していないことが利用の妨げとなっていた。
米厚生省のメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は7日、今回の決定は患者が治療薬にアクセスする方法を標準化し、幅広い給付を確保するとともに、投与に伴う多大なコスト負担について医療機関を支援することを目指す、新たな指針に基づくと説明した。
新たな規則は安全性のため治療を慎重にモニターすることが条件で、長期の結果を追跡するプログラムに参加する医療機関だけに適用される。また、正式には承認されていないが、CMSが認める専門家が医学的に容認できると判断した一部の適応症でも、メディケアが費用を負担する。
CMSを率いるシーマ・バーマ氏によると、同センターはCAR-T細胞療法について支払う価格をまだ設定しておらず、医療機関側のコストの65%を負担する方針。
CAR-T細胞療法を巡っては製薬会社や医療機関の間で数カ月にわたって不透明感が広がっていたが、今回の決定でこうした状況は解消される。全国で統一されたメディケアの指針が存在しなかったため、給付対象にするかどうかは各地のメディケア管理者の裁量に委ねられていた。
CAR-T細胞療法の薬は非常に高額で、米国におけるノバルティスの「キムリア」の価格は急性リンパ性白血病の子供向けで47万5000ドル(約5040万円)。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療でキムリアとギリアドの「イエスカルタ」は37万3000ドルの費用がかかる。
セルジーンやブルーバード・バイオ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、アッヴィなどもCAR-T細胞療法の治療薬開発に取り組んでいる。(ブルームバーグ)
(2019/8/8 14:30)