[ ICT ]
(2019/8/26 05:00)
米アップルの中国依存は同社にとって最大のハンディキャップと化しつつある。23日の米株式市場でアップルの時価総額は440億ドル(約4兆6300億円)吹き飛んだ。中国政府と米政府が相次いで相手国への関税措置を発表したのを受け、「iPhone(アイフォーン)」のほぼ全てが生産される中国の大規模製造拠点に注目が集まり、同社株はダブルパンチを受けた格好だ。
トランプ米大統領は週末、米企業に対し中国での製造の代替を直ちに探し始めるよう命じた。ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダニエル・アイブス氏によると、これはアップルにとって全く準備ができていない事態だという。
アイブス氏は「最良のシナリオで」 アップルが1年半の間に「中国から移転させることができるのはアイフォーン生産の5%から7%」だと予想。20%の移転には3年必要だと付け加えた。それでもこれは、アップルが米国内市場向けに必要とするアイフォーン生産の25%弱にとどまる。中国から輸入する製品に対する米国の関税はこのため、アップルの最大の収益源に直接影響することになる。
アップル製品の組み立てを受託する主要パートナー、台湾の鴻海精密工業は米国向けアイフォーン生産を全て中国以外で行う能力があると説明しているが、あらゆる点から見て、そのように展開させるには多大な時間と資金を要する。
事情に詳しい複数の関係者によると、アイフォーン生産を大規模に移転することがほぼ不可能なのは、熟練した労働力を他で確保することが困難なためで、この点はティム・クック最高経営責任者(CEO)も繰り返し強調している。複雑な生産ラインと必要なインフラを再現することも大きなハードルだという。
アップルは中国以外の生産に関して少なくとも一部のサプライヤーに打診したものの、同社が大規模な生産移転を準備している兆候はない。(ブルームバーグ)
(2019/8/26 05:00)