[ 政治・経済 ]
(2019/8/27 05:00)
【ジャカルタ=時事】インドネシアのジョコ大統領は26日、首都の移転先にカリマンタン島東カリマンタン州の東部を選んだと発表した。国会の議決を経た上で、政府や議会、官舎、ダムといった施設とインフラを整備。2024年までの移転開始を目指す。
首都移転は歴代の大統領も検討したが、実現していない。費用の確保を含め課題は多く、ジョコ大統領の任期が終わる24年までに軌道に乗せられるかが焦点となる。
新首都は、クタイカルタヌガラ県と北プナジャムパスール県にまたがる地区。東カリマンタン州は天然資源が豊富で、鉱業が主産業となっている。クタイカルタヌガラ県は赤道が通る。
ジョコ大統領は、移転の必要性について、国内の経済格差を改めて挙げた。インドネシアは群島国家だが、経済活動や人口が首都ジャカルタのあるジャワ島に集中。「他島との格差は拡大し続け、ジャカルタは渋滞や大気汚染に悩まされている」と指摘した。
移転先に関しては、①災害リスクが少ない②国の中央に位置する③州都サマリンダと大都市バリクパパンに近く、比較的インフラが整っている④政府の所有地が18万ヘクタールある―と説明した。
ただ、カリマンタン島は人口密度が低いものの、1人当たりの実質GDPがジャワ島を大きく上回る。特に東カリマンタン州は裕福で、同GDPはジャカルタ特別州に次ぐ水準にあり、他州を突き放している。首都移転が他島の経済発展に結び付くかは不明だ。
ジョコ大統領は、必要な資金が466兆ルピア(約3兆5000億円)で、19%を国費から拠出すると明かした。残りは資産運用や民間出資で賄うという。
(2019/8/27 05:00)