(2019/9/11 23:30)
川俣町で事業継続するために、受注できる分野を見極めたい
藤野機工は水道用、船舶用バルブ部品の製造が主力の金属加工業者。1967年(昭42)、先代社長が汎用旋盤1台から創業し、当時は建設機械部品の加工を主に請け負っていた。89年(平1)に法人化し、その頃から自動車用ガソリンエンジンのブロックに組み込まれるシリンダーライナーを手がけるようになり、最盛期には7ラインで月産15万本を生産するまでに育った。
その一方、新規事業としてバルブ部品の製造を始める。藤野社長単独で加工、納品を行っていたが、そこをリーマンショックに襲われた。エンジンの構造変化も相まってシリンダーライナーの受注が激減。先代から社長を引き継いだばかりの藤野社長は、バルブの量産物を徐々に増やし、人員を自動車からバルブへシフトするなど懸命に立て直しにかかった。
東日本大震災に見舞われたのはそんな時期だ。第1工場脇の土砂崩れで工場が半壊。幸い人的被害はなかったが、原発事故の影響で人手が足りない中での復旧作業となった。「この地で仕事はできなくなるのでは」(藤野社長)との思いにかられながらも、グループ補助金などにより工場の修理、増築を進めた。
CNC旋盤などを定期的に導入し、現在はバルブ部品をメインとする生産体制が整っている。今年6月には工場屋根に太陽光パネルを設置。最大38キロワットの発電量で電力コスト低減と遮熱の両立を見込む。藤野社長は「この地で長く続けるには、受注できる分野の見極めが大事」と話す。ものづくり企業が雇用の受け皿になれるよう、行政も巻き込んで地域の活性化を目指している。
有限会社藤野機工
連載#03
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(2019/9/11 23:30)