(2019/12/20 18:30)
位置・面合わせ技術や、ふくろ状の鋳型に残るガスや空気を抜くノウハウ
笠原鋳物工場は、大型バスやトラック、建設機械のエンジン周り部品、油圧や水圧、空圧バルブ部品などの鋳鉄鋳物素材の製造販売を主力とする。複雑な鋳物を高精度に造型して再現する技術やノウハウを生かした鋳造技術に強みを持つ。試作品など多品種少量品から10万個単位の量産品まで対応が可能で、単品なら最大で600キログラムの鋳物製品も生産できる。
高度な位置・面合わせ技術や、ふくろ状の鋳型に残るガスや空気を効率的に抜くノウハウ。造型性や耐久性、通気性、耐熱性に優れた独自の砂配合技術に加えて、高精度な複数連結中子の製作技術を開発。高品質な鋳物づくりに欠かせない液体の流路や複雑な空間形状を作り込んだ。村上仁工場長は「高精度な鋳造部品の安定供給を実現できた」と、自社の生産体制に自信をしめす。
同社は1973年(昭和48年)に福島県川俣町の誘致企業として進出してから46周年を迎えた。村上工場長をはじめ従業員の半数が地元出身という地域に根差した、共に歩んできた地場企業だ。東日本大震災では原発事故により川俣町の一部地域が計画的避難区域に指定され、メーカーが製品の受け入れを一時中止するなど深刻な風評被害を受けた。
「お客さまへの製品供給は止められない」という社員の思いから、放射線の不安や人手不足などの困難と戦い生産を続け、受け入れの再開時には遅延なく納品することで顧客の信頼に応えた。 村上工場長は「時代とともに変化する顧客ニーズに対応するため、新製品や技術開発を推進していく」としており、今後も地域と共栄共存できる企業体質の構築に向けて強みとする独自技術をさらに進化させていく構えだ。
株式会社笠原鋳物工場
連載#10
所在地 福島県伊達郡川俣町山木屋字上松林山1-1(本社:横浜市泉区)
社長 中島 修氏
設立 1955年(昭和30年)
資本金 3200万円
社員数 44人
Powered by 「ふくしまみらいチャレンジプロジェクト」(経済産業省委託事業)
(2019/12/20 18:30)