(2020/5/5 05:00)
全都道府県対象を継続
政府が新型コロナウイルス感染症対策の先を見据えた出口戦略に一歩踏み出した。緊急事態宣言の期限延長に合わせ、地域の感染状況によっては、外出自粛などの行動制限を一部緩和することを4日決定。今後、経済活動の再開に向けて業種・業態ごとに、感染拡大の防止に取り組むための指針を検討する。新型コロナとの戦いが長丁場になる見通しの中で、経済活動再開への道筋を示し、先の見えない不安を解消する。
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政府は同日開いた新型コロナウイルス感染症対策本部で、当初は6日までだった緊急事態宣言の適用を、全都道府県とも31日まで延長することを正式に決めた。ただ、感染防止策の徹底が必要な「特定警戒都道府県」13地域を除く34県では、感染を防ぐための「新しい生活様式」の浸透を前提に、外出自粛などの行動制限を緩和する考えを表明。その上で新しい生活様式の実践例として、マスクの着用や社会的距離を保つ行動などを挙げた。
さらに経済活動の本格的な再開に向け、感染防止への取り組みを事業者に求める方針を表明し、このための指針を業種・業態ごとに、2週間程度でまとめる考えを示した。
政府は外出自粛などの影響で、企業の倒産や廃業が増えている問題を重視。海外で経済活動再開への動きが強まってきたことも踏まえ、感染防止と経済活動を両立させる方策に重心を移す。
産業界 マイナス影響広がる 販売減…生産調整続く
緊急事態宣言の延長で産業界のマイナス影響はさらに広がりそうだ。日本自動車販売協会連合会(自販連)などがまとめた4月の新車販売台数は、外出自粛要請による来店者の減少が響き、前年同月比28・6%減となった。自粛ムードが長引き「消費者の購買意欲が戻らなければ、厳しい販売状況が続く可能性がある」(自販連)。車メーカーの多くは部品調達や需要減の影響などで大型連休以降も国内工場で生産調整を続ける計画で、雇用や部品メーカーの経営への影響も懸念される。
店頭販売が多い家電や、テレワークで使用の減る事務機器への影響もすでに顕在化している。キヤノンの田中稔三副社長は「2020年1−3月期は複合機は閉鎖される企業の増加に伴い、営業活動が十分に行えなかった。カメラはライフイベントの中止や延期が相次ぐなど、カメラを使う機会の減少が販売に影響した」という。セイコーエプソンもプロジェクターなどのBツーB(企業間)商品は商談ができず、販売が停滞しているという。
(2020/5/5 05:00)