(2020/2/28 05:00)
地球環境問題が深刻化する中で、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から循環型社会への転換が急がれる。循環型社会の重要テーマは廃棄物を削減し、再使用、再生利用に努める3Rの推進だ。SDGsでは目標12に「つくる責任 つかう責任」を掲げている。具体的なターゲットの一つとして、2030年までに廃棄物の発生を大幅に削減することが挙げられる。生産者と消費者の両方の視点から、それぞれの責任について考えていく必要がある。
循環型社会は廃棄物の発生抑制、資源の循環的な利用、適正な処分の確保によって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷を低減する社会だ。循環型社会の構築のためには①廃棄物の発生抑制(リデュース)②製品・部品の再使用(リユース)③再生資源の利用(リサイクル)の3Rに注力することが欠かせない。循環型社会形成推進基本法では、廃棄物の処理に関して、優先順位をリデュース、リユース、リサイクル、熱回収、適正処分とすると明記されている。
同法に基づく第四次循環型社会形成推進基本計画ではライフサイクル全体での徹底的な資源循環を目指している。ここでは「必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供する」将来像を掲げており、リデュース、リユースに寄与するシェアリングサービスなどの2Rビジネスの促進や、製品の開発設計段階の省資源化の普及促進などが国の取り組みとして盛り込まれている。
17年度の全国の産業廃棄物の総排出量は約3億8354万㌧で、前年度に比べて約349万㌧減少している。業種別の構成は電気・ガス・熱供給・水道業、建設業、農業・林業、パルプ・紙・紙加工品製造業、鉄鋼業の上位5業種で全体の8割を占める。
産業廃棄物の処理状況は、再生利用量が約2億217万㌧(全体処理量の52・2%)、中間処理による減量化が約1億7363万㌧(同45・3%)、最終処分量が約970万㌧(同2・5%)となっている。前年度に比べ、最終処分量が約2%減少している。
産業廃棄物の総排出量と最終処分量は減少傾向が続く。今後さらなる減少を実現するためには一人ひとりが意識の向上を図り、3Rを推進していく必要がある。3R以外にレジ袋など廃棄物の原因になるものを断るリヒューズや、製品を修理し長く使い続けるリペアなどを項目として付け加える4R、5Rの考え方などもある。モノづくり企業としてもこれらの視点を持った製品づくりやサービスが求められる。
(2020/2/28 05:00)