(2021/2/19 05:00)
産業界や生活スタイルを一変させた新型コロナウイルス。環境が大きく変わり約1年が経とうとしています。
仕事の進め方も様変わりし、一部の間接業務はリモートワークによって働き方改革が急加速されましたが、現地・現物作業を主とする工場業務は同じようにはいきません。しかし、属人的な業務の進め方を見直し、標準化、効率化・合理化の機運が高まっているのは間違いありません。
そこにはデジタル・ITツールの利活用が急務となっています。そのため、モノづくりを変革し、生産のさまざまな問題解決につながる“生産現場のデジタル化”がキーワードとなり注目を浴びています。
日立ソリューションズ東日本は、生産現場・間接業務部門それぞれに適したデジタルソリューションを提案します。生産現場編では、設備稼働を見える化し、設備と人の稼働状況を合わせて分析することができる「WellLine」を、間接業務編では、個人と部門別でバラバラに管理していた業務アプリケーションを集約し、情報を一元管理する「AppSQUARE」を紹介します。
生産現場のデジタル化の大きなヒントになるであろう、本企画を是非ご活用ください。
生 産現場編
生産現場の3つの“見える化”で、本当に改善すべき個所を狙い撃ち!
製造生産性向上IoT/データ分析ソリューション
WellLineは、①設備稼働の見える化、②作業と位置の見える化、③工程の予実差異の見える化の3つの観点で見える化することで生産現場を俯瞰し、改善すべき課題の早期発見を促すIoT分析システム。さらに、情報収集のためのデバイスを目的に応じて選択できる標準パッケージを用意しているため短期間で稼働が可能だ。必要な情報をシンプルな方法でスピーディーに収集することをコンセプトに、IoT導入のはじめの一歩を踏み出しやすくサポートする。
設備稼働の見える化で稼働状況を常時、正確にキャッチ
このような現場で、こんな困り事はないだろうか。切削や研削、研磨などの複数台の工作機械を、1人の作業者が多台持ちし、1日に何度も段取り替え。チョコ停が多発し、そのたびに処置に追われている。機械の稼働時間や異常停止の回数がわからず、稼働・非稼働の実態を正しくつかめていない――。こうした“見えない現場”の問題解決に適しているのが、WellLine。パトライトAirGRIDと連携し、設備の正常・異常・段取り中などの稼働ステータスを無線ネットワークを介して自動収集。そのデータをアンドンや設備稼働分析、設備別ガントチャートなどに表示することにより状況をひと目で把握できる。標準画面メニューのほかにセルフサービスBIも用意。ユーザー自身で集計やフィルタなど作成が可能で、表示画面のカスタマイズができる機能である。工場内のモニターやPC、遠隔からでも稼働状況をチェックできる。
作業と位置の見える化で設備稼働と合わせて実態把握
さらに設備の稼働状況だけでなく、どのような処置をどの程度行ったのか、人の作業の実態を見える化し、設備と人の稼働状況を合わせて分析できることもWellLineの大きな特徴。生産現場の実態をよりきめ細かく正確に把握できる。しかもその情報収集はシンプルかつ簡単な手法である。
利用するのはサイコロ型デバイス。六面の立方体の各面に「作業なし」「段取り替え」「工具交換」など作業内容を記載した六面立方体(サイコロ)を作業の着手時に該当する面を上に転がすことにより、サイコロの中に内蔵したセンサが状態を読み取る仕組み。センサはサイコロ型デバイスのほか、携帯タグとして位置情報の把握に利用することもできる。
これらの作業・位置情報と設備情報を掛け合わせて「人・設備チャート」に表示。特定設備の稼働ステータスと人の作業や滞在位置を合わせて表示するチャートで、例えば「設備が停止していた時間のうち、人や作業に起因する部分がないか」を分析することで設備の停止が人あるいは設備に起因するのかの要因特定に役立つ。漠然と改善に取り組むのではなく、こうしたデータの裏付けを基に改善すべき個所に適切な対策を打つことにより稼働率を向上させ、ひいては原価(コスト)の改善につながる。
さらに位置の見える化は新型コロナ感染対策にも寄与。位置情報を収集することで、エリア人数をリアルタイムで把握したり密になりやすいエリア・時間帯を特定したりすることにより、密集・密接を抑制できる。
新機能「工程予実差異の見える化」で改善対象を特定
そして2020年には新機能としてスマートデバイス(スマホ・タブレット)向けアプリ「工程予実差異の見える化」を標準搭載した。生産計画と工程実績の予実分析を行い、分析結果をダッシュボードやガントチャートに表示する。生産計画データは日立ソリューションズ東日本が提供する生産スケジューラ「SynPLA」と連携できるほか、品目・工程・設備・計画時間・計画数量などの手持ちの指図情報を取り組める。スマホやタブレットで指図書のバーコードを読み取り、画面をタッチするだけで工程開始から終了までの実績を簡単操作で収集。予実分析結果から、計画ズレや実績バラツキの大きい工程や品目を見つけ出し、改善対象を特定できる。
目的に合わせてモジュールを選択
WellLineの標準パッケージは設備稼働、作業・位置、工程実績の収集するデータに応じてモジュールを構成。課題解決に必要なモジュールを選択でき、追加・拡張もできる。
IoT初心者は小さく始めて、導入効果の手ごたえがつかめたら大きく育てられる。
間 接業務編
データの一元管理と業務プロセスの“見える化”で作業効率アップ
業務アプリケーション構築プラットフォーム
個人別、部門別のバラバラで作成・管理していた業務アプリケーションを1カ所に集約し、情報を一元管理する「AppSQUARE」。紙ベースやExcel形式で保管・運用していた文書管理や申請・承認、懸案、プロジェクト進行などの業務プロセスをAppSQUAREのシステム上で完結することにより業務フローを効率化。場所を選ばずに情報共有できる仕組みやペーパーレス、脱ハンコといったテレワーク推進で高まるニーズに応えるシステムである。
プログラミングスキルは不要!簡単操作で好みの画面や帳票を作成
AppSQUAREはその名の通り、アプリケーション(App)が1つの広場(SQUARE)に集まるというコンセプト。①業務情報のフォーム管理、②業務プロセスの管理、③ファイルのフォルダ管理の主に3つの基本機能を1つのパッケージに搭載。それらの機能を組み合わせて、業務内容や目的に適したアプリをユーザー自身で作成することにより、使い勝手や好みに合わせたアプリとして運用できる。従来、電子メールでのファイル添付や表計算ソフトで情報共有していたものをAppSQUAREに一本化することにより、メールの誤送信や情報共有の抜け・漏れを防ぐ。以下、基本機能の特徴を紹介する。
業務情報などを入力するフォーム画面をAppSQUARE上に作成。レイアウトや項目を自在に設定、それをノンプログラミング、ドラッグ&ドロップのマウス操作のみで作成できる。紙ベースやExcelでの帳票フォームをAppSQUARE上で再現することも可能だ。
申請・承認などの業務プロセスを見える化。複雑な業務でもワークフローを作成し、進捗を確認できる。
業務の成果物や各種書類をフォルダで管理・保存。ファイルのチェックイン・チェックアウトや版管理もAppSQUAREで行える。
さらにポータル管理ができることも特徴の1つ。使用頻度の高いアプリをアクセスしやすい位置に配置したり、部門ごとで統一画面に設定するなどユーザーの要望に合わせてカスタマイズ。ポータル画面から各種アプリに最短でアクセスすることにより、作業効率を高める。
ここで生産現場でのAppSQUAREの活用シチュエーションを紹介する。たとえば計測器や測定器の周辺管理。計測器では定期的に校正(本来の測定結果との誤差を調べること)が必要になるが、校正のタイミングをAppSQUAREの期限管理機能で管理。適正な時期に忘れることなく校正ができ、さらに所有する計測器・測定器のスペック情報を登録しておく。
また調達業務においは、調達品やそのサプライヤーの情報管理、製品の不具合と紐づけて管理。本来、案件ごとにExcelや紙など異なる形式で管理していた情報を一元化することにより、必要な時に、必要な情報をスムーズに検索できる。
プロジェクト管理でデザインレビューを効率化
文書管理だけでなく、多人数を要する大掛かりなプロジェクトの進行管理においてもAppSQUAREの多様な機能が役立つ。特に製造業では、製品開発や新規ラインの立ち上げで行われるデザインレビュー(DR)での活用を見込む。DRは企画から製造までの間に品質を作り込んでいくために、問題の洗い出しや次のプロセスに移行できるかなど、さまざまな観点で検証する必要がある。製品の品質を保つためにはDRは欠かせないが、事務局担当者が開催スケジュールを調整して参加者に通知し、レビュー項目の決定などの事前準備、審議、レビュー結果のまとめ、フィードバックなど、多くの付随作業があり、管理と調整が煩雑になる。準備不足のまま会議を実施してしまうことで有意義なレビューが行われないといったケースもある。
そこで、DRの進捗管理、会議開催、会議資料などの文書管理、懸案管理、結果承認などDRに関わるすべての業務プロセスや管理をAppSQUARE上で行うことで、付随作業の手間やムダを省ける。DRを効率良く進行でき、質の高いDRを行える。
また、日立ソリューションズ東日本が提供する日程管理システム「SynViz S2」と連携が可能。時間軸で予定が表示されるため、予定をひと目で確認できる。
製造業での一例を紹介したが、AppSQUAREは業界・業務を選ばずさまざまな場面での活用が期待できる。テレワーク、リモートワークなど働き方が多様化している今、情報一元化、業務フローを一本化できる環境構築の必要性がますます高まっている。
(2021/2/19 05:00)