(2021/7/30 00:00)
脱炭素社会への機運が高まる中、三浦工業では2007年から脱炭素化に向けた新たなエネルギーを活用した製品の研究開発を進める。今年は「熱利用技術ブロック」を新たに組織編成し、エネルギー転換の時代に求められる製品・サービスの開発に注力している。
17年には、主な動力源を重油や都市ガスとするボイラに、水素エネルギーを採用した水素燃料ボイラ「SI-2000AS」を発売した。同製品は、燃焼時の生成物は水のみでCO2排出はゼロという、まさに脱炭素化を実現した次世代型の貫流蒸気ボイラ。1時間あたりの相当蒸発量は2000キログラムで、98%という高ボイラ効率を誇る。
同製品に低窒素酸化物(NOx)バーナーを搭載した「SI-2000AS-H2A」は、NOx濃度50ppm(ppmは100万分の1)以下を実現。今年5月に全国の自治体で初めて水素燃料を使用する蒸気ボイラとして「東京都低NOx・低CO2小規模燃焼機器」の新たな認定区分『グレードH』に認定された。また新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が山梨県で推進する水素社会の実現に向けた実証事業にも参画し、社会実装に向けた取り組みを行っている。
燃料電池の開発にも取り組んでおり、20年には専門のメンテナンス部門を設立。遠隔監視による機器の稼働状況管理などボイラ事業で培った迅速・高品質のアフターサービス体制を構築している。コージェネレーション(熱電併給)タイプの「FC-5B」は、出力4.2キロワットの業務用固体酸化物形燃料電池(SOFC)。発電時に発生する排熱を温水として回収することで、エネルギー効率を90%まで高めた。
また東京ガスと共同で、発電出力規模5キロワット級のモノジェネレーション(発電機単体)タイプのSOFCシステムを開発中で、同規模としては世界最高クラスの発電効率65%を実現した。今後は燃料の多様化や発電容量のラインアップ拡充に取り組んでいく計画だ。
(2021/7/30 00:00)