(2021/8/12 05:00)
環境ラベルは、商品がどのように環境負荷低減に役立つのかを示す目印だ。環境物品などの調達を推進するグリーン購入法では、事業者や消費者にもできる限り環境に配慮した商品を選択することを求めている。環境ラベルは購入時における一つの参考情報になる。
エコマーク
エコマークは日本環境協会が1989年にスタートした、ライフサイクル全体を通じて環境性能に優れている商品を認定・表示する日本で最初の環境ラベリング制度。衣服などの日用品や文具、電子機器など現在71の商品分野がある。環境負荷は商品によって異なるため分野ごとに認定基準を定め、第三者機関の厳格な審査を経て認定される。現在約4万4000商品が認定を受けている。2011年からは製品だけでなく小売業やホテルなどのサービス分野に対しても認定を行っている。
エコマーク事務局の藤崎隆志事業部長は「取得後の企業によるコミュニケーションが重要」と語る。エコマーク事務局では分野ごとの認定基準が、どのSDGs目標に貢献しているのかをまとめた事業者向けのSDGs活用ガイドを公表しており、エコマーク商品の製造・販売をSDGsの取り組みとして発信・活用ができる。
昨今では組織購入向けの通販などEC(電子商取引)サイト上において、商品のエコマーク認定情報を取得できる。店頭で商品を見るのと同じようにECサイト上でもマークが表示されるため、購入時に活用してもらえるように、認証機関として情報をスムーズに市場に提供することに注力している。
バイオマスマーク
バイオマスマークは日本有機資源協会(JORA)が06年から運営する、生物由来の資源(バイオマス)を活用し、品質および安全性が関連する基準、規格などに適合した商品に付与されるマーク。
石油資源から代替していくことを目的とし、プラスチック製品など一見バイオマス素材を使用しているのか判断しづらいものに、マークを表示して識別しやすくしている。海洋プラスチックゴミ問題を受けて、レジ袋などをはじめ物流・包装用品の認定数が増え、18年の326件から1048件(7月20日現在)にまで拡大した。
マークには、認定商品に含まれるバイオマス原料の割合10-100%の数字(バイオマス度)が5%刻みで示されている。例えば、バイオマス度が10%で重さ100グラムの製品の場合、10グラムはバイオマスを含んでいると判断できる。数字の表示により、石油由来の素材からどれだけ置き換えられているのかを、消費者が理解しやすくなる。認定された商品に対して、申請値通りのバイオマスが含まれているのか確認するために、生物由来の物質にしか含まれていない炭素同位体(C14)が、どれだけ製品に含まれているかを測定し、バイオマス度の調査を行っている。JORAのサイトでは認定製品を商品名やバイオマス度などで検索できる。
それぞれの企業は環境ラベルの認定を受けた商品であることを適宜アピールし、ラベルへの関心・認知度を高める活動が必要である。どのように環境へ配慮されているのか適切に発信することが消費者の正しい理解を深め、選択のインセンティブへとつながる。
(2021/8/12 05:00)