(2021/8/6 05:00)
8月は感電事故などが最も多いとされ「電気使用安全月間」として、通商産業省(現経済産業省)が1981年に定めた。電気使用の安全に関する知識と理解を深め、電気事故防止に役立てることを目的とする。電気事故を未然に防ぐためには電気設備の点検が重要。その点検には、「電気」を正しく測るフィールド用の電気測定器が欠かせない。
進化する現場測定器
フィールド用の電気測定器は「現場測定器」とも呼ばれる。手にして作業するハンドヘルド型で電気設備の施工や保守、メンテナンスなどの作業現場では重要なツール。電圧や電流、抵抗の値を測定するマルチメーターやクランプメーター、保安管理上重要な測定項目の一つである電気機器や電路の絶縁状態を調べる絶縁抵抗計など、測定目的により多くの機器がある。
マルチメーターは直流(DC)と交流(AC)の電圧、電流、抵抗などの測定を1台で行える。測定値を指針で表示するアナログタイプと、デジタルで表示するタイプがある。
クランプメーターは配線を挟み込むことで、回路を切断することなく通電状態の電流を測定でき、大電流にも対応する。
測定機能を複合化するなど、現場での測定を迅速に行え作業時間の短縮に貢献している。共立電気計器が提供する電気備品定期点検試験器は100/200ボルトの電気機器の事故やトラブルを防止する。電気工事や建設現場で使用する電動工具や電気機器の絶縁不良などが、試験ボタンを押すだけで自動で診断できる。さらに外部プリンターと接続し、その場で印刷して診断結果の管理ができる。
このほか、第5世代通信(5G)の基地局設置には光ファイバーの敷設が必要で、光パルス試験器(OTDR)や光パワーメーターなどの光測定器が注目を集めている。
無線機能で効率化
現場測定器はブルートゥースやWi-Fiモジュールなどの無線機能を搭載している。スマートフォンやモバイル端末に測定したデータの転送や、遠隔操作を実現。これまで測定者と測定値の記入者の2人が必要とされた現場では、測定者1人で対応できる。
測定箇所が多い作業場での測定時間短縮や、手入力による記載ミスをなくすことができ、リポートの作成なども容易に行える。デジタルのマルチメーターで測定し、スマホやタブレット側では測定値を指針表示することもできる。
(2021/8/6 05:00)