(2021/10/22 05:00)
第5世代移動通信(5G)の商用サービスが2020年3月末に国内でスタートし、スマートフォンなどの対応端末のラインアップ、通信エリア拡充が進んでいる。さらに5Gを地域限定で用いる「ローカル5G」が注目され実証実験が加速している。
IoT環境構築 対応スマホ増加
5Gは超高速・超大容量・多数同時接続・超低遅延を特徴とする。現行の4Gの一つであるLTEと比べて、データ通信速度は約100倍となる1秒当たり10ギガビット、伝送時の遅れ(遅延)は10分の1となる1ミリ秒を実現する。2時間映画のダウンロードにかかる時間は5分必要であったのが3秒で済み、4K映像の受信も可能だ。
多数同時接続は1平方キロメートル当たり100万台。超低遅延のためリアルタイムに建設機械やロボットなどの遠隔操作が可能で、屋内外の家電やセンサー、自動車などあらゆる機器が接続し、IoT環境を構築する。
ICT市場調査会社のMM総研がまとめた「2020年度通期国内携帯電話端末の出荷台数」によると、20年度の総出荷台数は前年度比12.3%増の3511万台となった。うちスマホの出荷台数は同16.9%増の3275万7000台で過去最高となり、どの通信会社でも利用できるSIMフリーの比率は同13.1%に増加した。
20年4月に楽天モバイルが移動体通信事業者(MNO)に参入し、1年間無料サービスを展開するなど、後発ならではの戦略が奏功したと分析する。
特にスマホの出荷台数の内、5G対応は33.6%を占め、19年度の41倍となる1101万台。増加要因として20年10、11月に発売した米アップルの「iPhone」シリーズ全モデルが、5Gに対応したことを挙げる。
メーカー別のスマホ出荷台数では、米アップルが1580万台で全体の48.3%を占め、シャープ419万台で12.8%、韓国サムスン電子が9.8%の320万台と続く。
21年度の国内スマホ出荷台数は前年度比5.1%増の3444万台と予測し、うち5G対応スマホは同2倍となる2271万台を見込む。
KDDIでは22年3月末で、3G回線による電波利用ができなくなる。NTTドコモなど各キャリアも順次3Gサービスを終了することから、5G対応スマホへの切り替え需要にも期待できる。
電子部品、微細化へ
5Gには新たな無線技術が求められる。超高速通信に必要な数百メガヘルツ以上の広周波数帯域への対応や、ミリ波などの高い周波数帯への対応、超低遅延を実現する無線フレーム構成などの無線技術が求められる。
5Gは6ギガヘルツ以下の周波数帯を用いたSub6(サブシックス)と、24ギガヘルツ以上の周波数帯を用いたミリ波に分けられる。5G対応スマホはSub6を中心に進んでおり、端末メーカーはフラッグシップからミドルレンジまで幅広く普及を図っている。
ミリ波は超高速・大容量通信が可能だが、直進性が高く障害物に弱い特性がある。Sub6帯はミリ波に比べ遮蔽(しゃへい)物に強い。
また、高い周波数(SHF帯、EHF帯)におけるアンテナ素子の小型化や、多素子アンテナの位相・振幅制御により指向性を持たせたビーム(ビームフォーミング)を作り出す超多素子アンテナ(マッシブMIMOアンテナ)が重要となる。周波数帯や通信速度が各段に上がることで、従来なかったノイズ環境が想定される。
またスマホに内蔵する電子部品は高精度・微細化が進んでいる。電子部品をプリント配線板の表面に実装する実装機(マウンター)は自動化などで高い生産効率を実現し、高い品質など付加価値を支えている。
こうした中、FUJIは電子部品を実装する表面実装の工程において、電子部品の微細化・高品質化に応え、生産性向上を示現した新製品を訴求している。
(2021/10/22 05:00)